我が家にボラがやってきてしまった
先日九石大敷からの鮮魚セットのお魚ラインナップをみて戦慄してしまった。
「ボラ」
・・・やばい。
どうすれば良いのか全く分からない。
・・・ボラでしょ?
汽水域にいて、少なくとも僕の地元では臭うから食べる魚としては誰も認識していなかった魚ですよ。
以前、川崎市内の魚屋でボラの刺身が(結構高値で)売られていたので好奇心で買ったことがあるけど、その時も噂通り変に川臭いような東京湾臭いような独特のクセがあって後悔した記憶がありますよ。
そんな魚でしょ?
どうすりゃいいんだ・・・。西日本では結構普通に食べるもんなのか・・・?臭わないのか・・・?
今すぐ調べねば・・・!!!!!
と、超焦りながらボラの食べ方を色々調べて実際に安全に美味しく食べられる方法を検証してみたのが今回の記事。
ちなみに検証の結果、僕の中では洗いにして食べるかスパイス練り込んでクセを消して食べるのが美味しいという結論に達しました。
全く知らない存在だったらもっと前向きにボラを楽しめたと思うんだけど、小さいころから「ボラは臭い&食用魚ではない」と刷り込まれてきた僕には難易度高すぎる魚だった・・・(-_-;)
この記事はこんな方向け
- ボラってあのボラでしょ?食べられるの?って気になってる。
- ボラを釣ったのでどう食べると良いか調べておきたい。
- ボラがやってきた。どうすんだこれ。
ボラが届いたので捌いてみる
こちらがとどいたボラ!!
デカすぎる!長すぎる!体長60cm超え!!
ボラじゃなくてもはやトドと呼ばれるレベルまで出世しきったサイズだよ。
どーしよ、これ・・・。。
相変わらずでかい鱗
釣りあげた時毎回思ってたが本当に鱗がでかいよね、ボラ。釣りでは豆アジの仕掛けに引っかかってくるから釣りでも邪魔な存在だったな、ボラ。
あ、しかもでかい上に取りにくいぞこの鱗。
綺麗な白身だけど意外と血が多い?
捌いている間、どことなく川っぽいような泥臭いような臭いを少し感じる。でも捌いてみると綺麗な白身。
血合いはしっかりしていて柵どりしてペーパーに包むと一晩でペーパーが血のような色に染まる。ボラは血合いが結構大きい魚なのかも。毎日のペーパー交換は忘れずにしっかり対応したい。
ついでにかなり断面はかなり丸っこい。ボラレシピを調べると筒切りで色々加工してるようだったけど、実際捌いてみると筒切りにしたくなる気持ちが良く分かる。
そしてサクの状態にして皮も引いてみると、真っ白な白い身と対照的にかなり深い色合いの血合いが独特の存在感を主張してくる。
綺麗なんだけど魚っぽさがうすいような。不思議な感じ。
噂の幽門を確認
「ボラのへそ」と呼ばれる部位も確認。筋肉のかたまりのようで変な臭いも一切ない。こちらは煮付けの際に一緒にスライスして入れてみたら鶏の砂肝と同じ食感と雰囲気。
結構美味しい珍味。
ボラを色々な食べ方で味わってみる
でかすぎてちょっと参ったけどボラ、色々なた食べ方で攻略方法を探ってみるか!!
刺身:可も不可も無く。
まずは基本の生。
とりあえず薬味も醤油もつけずに食べてみたら血っぽい風味を発見。ついでに魚っぽい臭いも強くてこれマグロじゃねってくらい臭いがある。
いやーこれそのまま食べるのは無いな。醤油つけよう。
今度は醤油をつけて目を閉じて食べてみる。
うーん、食感はややモッチリ系で醤油がボラの風味というかクセをカバーしてくれて旨い。かもしれない。
旨味も結構あるような気がするけどなーんかこう、、味気ないというか淡泊な気もする。
柔らかいので酢飯には良く合う気がする。
刺身としては可も不可も無くって感じかな?
洗い:すっきり美味しい!
おすすめの食べ方で紹介されていた洗いにしてみる。
あー、すごいスッキリした味わい!!
なるほどこれは美味いわ!!
旨味もわかるし変な風味もないし、すごく爽やかな白身で食べやすい。
ボラにすごくよく合う食べ方ってのが分かる。刺身だとボラのクセも一緒に味わう感じになるのね。刺身だとぼやけてたボラの雰囲気が、洗いにしたらとたんにくっきりしたみたいで面白いや。
握り寿司:可も不可も無く
ん?
可も不可も無くだった刺身がさらに可も不可もない味わいになったw
不味くも無いけど取り立てて美味しいというわけでもない。記憶に残らない白身のお寿司が出来上がってしまった。
ボラよすまぬ。
煮付け:敢えて食べるものでは無い
うん、ショウガの香りが上品な白身とマッチしつつ甘い煮付けの味にも良く合ってて美味しい・・・。
んだけどどうしてもボラの顔を思い出してしまい食欲が出ない・・・。
腹側はしっかり脂ものっててブリの腹身を思わせるほど。でも皮がなんか無駄にプルプルしてて気持ち悪食欲失せる。なんかね、身はキュッとして少し締まるんだけど皮だけプルプルしてて違和感あんのよね。
綺麗な水域に住んでるボラしか知らない人なら美味しく食べられるんだろうけど、僕にこの煮付けは過去の記憶と相まってハードルが高かったみたいだ・・・。ボラよ、すまぬ。
食べるけども。
味噌汁:出汁から独特な香りがでてキャンセル
出汁の旨味は強い。
それよりも煮ている間手羽元を煮込んでいるかのような香りが出てきた方が気になってしょうがない。
味噌汁にしようかと思ったけどなんか食欲を大きく削がれたのでキャンセル。
ちょこっと味見したところ、やっぱり出汁の旨味は強い。
ムニエル:嗅いだことのない香り
続いてムニエル。
見た目は美味しそうで何より。
食感もやっぱりブリの切り身に近い。
そんなことより気になるのが香り。
臭くは無いんだけど、なんだこれw
他の魚では嗅いだことのない独特の香りがある。胡椒を振ったので胡椒の香りはあるんだけどそれを包み込むような何かが・・・ボラ臭がする・・・。
嫌な香りじゃないんだけど良い香りでもなく、どうしても昔汚い河川で釣り上げたボラが頭をよぎってしまう。
やべーな。どうしよう。。
普段なら気にしない程度だと思うんだけどボラの姿を想像すると厳しい。
ボラ、すまん。
塩焼き(一夜干し):塩ブリチックでわりと美味しい
少し強めに塩して寒風に一晩あてて焼いてみる。
あれ!?変な臭いが無い!!
わりと素直な白身の干物の風味がするような気が。食感は少し身が締まった感じで脂ののりが良い気が。意外とボラ、水分を抜けばクセが無くなる系?
スパイス料理:ボラ臭ゼロで美味しい!
香りをぶっ潰したら美味しい白身になるんじゃないかということで最後の手段、ケララフィッシュフライ(パンチ強め)!!
レッドチリ、ターメリック、ニンニクすりおろし、塩、米粉で15分ほどマリネして揚げ焼きして仕上げにレモンをたっぷり絞る。
あー、文句なしにこれは美味しいわ!!
ボラ臭ゼロ!!というかボラっぽさゼロ!!
ビール欲しくなるね!!
うーんなるほど、香りのパンチ強めな料理にすればボラは美味しく頂けそうだわ。
まとめ
ボラに申し訳なさも感じつつ色々な食べ方を検証したみたところ、今回のボラには多少なりとも見過ごせないクセがあった。
これを気にしない方や、クセを消して食べられる方ならボラを無駄なく頂けるんだろうと思う。
ボラを美味しく食べるには独特のクセと向き合う覚悟が必要
ボラのクセとは「臭い」に尽きる。
皮目が無駄にプルプルしてたり変なところに硬い骨があったり加熱すると身が少し締まるような感じがあるけどすべて「臭い」が無ければ難なくクリアできる程度のもの。
今回感じた臭いは4パターン。
- 捌いた時の泥臭さ
- 生で食べた時の血合いの魚臭さ
- アラを煮出した時の手羽元煮出してるみたいな変な臭い
- 油で加熱した時に香ってきたボラ臭
泥臭さはさばいてるときだけだし、血合いの臭いは醤油でごまかしようがあった。でもチキンを料理してるような臭いや独特のボラ臭(としか言いようがない)を美味しそうと感じる人はおそらく少数派。
この独特なクセに対処する必要があった。
そして今回の食べ比べで効果があったのはこの3通り。
- 生で食べるなら洗い
- 塩焼き。多分水分を少し抜いた干物系
- スパイスを効かせたパンチのある料理
洗いにすることでボラのクセとなる成分が文字通り氷水に洗い流され、さらに低温になるためクセをさらに感じにくくなる。おそらくボラは旨味が強い魚なんだろうと思う。洗いにしても味が抜けきることが無かった。
そして塩焼き、、というか一夜干し。お魚あるあるなんだけど、干物にすると味わいがガラッと変わることがある。ボラも干して焼くことで独特のクセのある臭いがかなり消えるみたい。
そしてスパイスを効かせるというのが最後の手段。インド料理で使われるスパイスの組み合わせならおそらくなんでも行けると思うけど、ニンニクの力はとても心強い。
ボラの味は生息域で大きく変わる?
いやー、正直小さかった頃のボラのイメージがここまで尾を引くとは思わなかった。。
多分「ボラは食べる魚じゃない」っていう先入観が強すぎて食べる気力が中々湧いてこなかったのがボラに苦戦した原因かなって気はしてるんだけど、それでもやっぱりクセは気になる。
ボラは底の微生物を食べる食性なのでどうしても泥や砂をため込むし、汽水域もメインの生息場所なので他の海水魚より独特の臭いがあるのはしょうがないのかも。
今の関東ではあまり食べる魚として認知されてないけど西日本の地域ではしっかり食べているところもあると聞く。思うに、生息場所の環境が綺麗ならクセも少なめ、環境が汚ければそのままクセが強くなるのがボラなんじゃないかな。
僕の小さい頃の釣り場は近くが工業地域だったり貯木場だったりして「ザ・工業エリア」な空気の場所だったので、そこで釣れるボラもそれなりにクセが強いんだろうな・・・
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