カツオを寝かせたら美味しくなるかと思いきや!!
9月22日、美味しい戻り鰹を狙って初めてのカツオを釣ってきた。釣果は2本!毎日カツオ尽くしということで1本は美味しく頂き、残る1本は寝かせて食べることにした。
食感は柔らかくなるものの味が濃厚になるという噂もあり超楽しみ…!!
に、していたのだけれど、寝かせていた1本を捌いてみるとまさかのやや不快な金属臭が。。
色は綺麗。
でも片身の方からはなんとも言えない金属臭さのようなものとほんの少しの苦味を感じる。
そういえば寝かせてない方のカツオもなんとなく片身の柵は臭いがあったような…
うーん…これは反省会だな…
この記事はこんな方向け
寝かせていないカツオについては初めて締めたこともあり、釣り上げた直後の処置から脱血冷却まで失敗続きだった。
なので、今回カツオが痛みやすくなった要因については、寝かせたカツオを釣り上げてからを振り返って考えてみたい。
ということで、今回はこんな方の参考になるかもしれない。
- これからカツオを釣ろうとしているけど釣ってから寝かせるまでの注意ポイントを知りたい
- カツオを寝かせるのがどうもうまくいかない。
- カツオを寝かせて刺身で美味しく食べてる方法を探りたい。
どこがどう傷んでいたか
まず、寝かせているもの半身は明らかに傷んでいたと思う。
釣り上げた日を0日目とすると、寝かせたカツオは3日目に三枚おろしに捌いた。見た目では全く分からず、時全て柵にしたのだが、右半身の身を一切れ食べてみると妙な苦味と金属っぽい臭いを感じたのだ。。
醤油をつけてもやっぱりなんだか気になる…ということでごまかせないので結局右半身は廃棄することになってしまった。
そして寝かせていないもう一本のカツオも片身はやや臭いが気になった。スーパーで売られているものと比べると微かな臭いなのだが、血合いから僅かな金属臭と苦みのようなものを感じる。
血合いをへぐとまったく気にならなくなったが、どうも血が集まっているところが特に早く痛みやすくなっているように感じた。
失敗した要因を考える
カツオを釣り上げたあとの処置
暴れさせて身焼けを起こしていなかったか
まずは釣り上げたあとどれだけ迅速に処置したかという問題。
今回寝かせたカツオは1回だけ船の床に落としたが、それ以外は暴れさせる暇を与えず即延髄を断ち切った。
なので、身焼けは起こしていないと思う。
血抜きが十分ではなかったか
この臭いの原因として1番考えられるのが血の作用によるもの。カツオ体内からの脱血が不十分だったために腐敗しやすかったのではないかと考えている。
カツオ体内に血が存在することによる臭いへの影響は血抜き効果の調査からも分かっている。
加えて今回、おろす時にも皮目から血が確認できた。
つまり、動脈付近の血はある程度抜けていたけれど身全体の脱血は不十分。
特にカツオのように血が濃い魚種では致命的となる可能性もあるかも?
冷却が遅かったか
締めて放血させたら次は身の冷却。気温が高い場合、冷却が遅いとそれだけすぐに腐敗につながる。
ただ、今回寝かせたカツオに限っては5分ほどの放血後に海水氷でキリッと冷やしたはず。
ということで冷却が遅かったことが要因とは考えにくい。
寝かせ方
頭を落としてはいけないのか
寝かせ方について考えてみると、まずは頭を落とすことの是非が気になる。
切り口の部分は3日目では茶色くなっていた箇所もあったが捌いたあとの身の色は綺麗だった。なので頭を落とさない≒空気に触れさせる箇所は極力抑えた方が、酸化抑制の効果が出やすいのは間違いない。
ただ…頭を落とさない場合はそれだけ空気に触れる箇所が小さくなるので酸化を抑えられる効果があると思われるが、とはいえ今回は真空氷温室で寝かせていた。
となると、中身に関してはそこまで大きく違いは出ないのでは…?
頭を落とさない場合冷蔵庫に入りきらないという問題も出てくるし、効果のほどもやや疑問なので頭は落とす前提で考えたい。
柵取は必要か
身を痛めてしまった原因として気になったのがカツオの自重による身の圧迫だ。
今回釣ったほどの大きさになると重さもそれなりに出てくる。一応1日1回はひっくり返して寝かしていたが、それでもさばく時は左右でやや身の膨らみ方に違いが出ていた。
仮に自重による身の圧迫が原因となると、その重さを先に低減してやる必要があるということだ。
そうなると柵取りしたうえで寝かせる…?
いや、そうすると今度は酸化する身の表面が増える。参加による劣化の方が深刻なダメージを与えそうだ。。
冷蔵庫の温度は高くなかったか
カツオの保管温度として最適なのは確か5℃。ただし、0℃~10℃の間なら一般人が気にするほどの差は生まれなかったはず。
そして今回寝かせてたのは脱気したほぼ0℃の冷蔵庫だ。
温度に対しての問題は無かったと思う。
そもそもカツオは熟成に不向きかも
ここで一つ考えた。そもそもカツオは赤身と言われるほど血合いや鉄分が多い。こういった魚は白身に対して非常に劣化が早いイメージがある。
カツオに限らずサバも鮮度が命と言われるタイプの魚だが、例に違わずサバ科であるカツオ自体、熟成にあまり向いていないのではないかとも考えられる。
ヒスチジン含有量がえげつないのがカツオ!
消費者庁で紹介されている↓の記事のグラフを見てみると、カツオはサバよりもはるかに多いヒスチジンを含んでいる。
ヒスチジンはその後ヒスタミンに変わり中毒を引き起こす原因物質のもととなる成分だ。サバによるアニサキス以外の食あたりはヒスタミン中毒によるものが圧倒的に多い。
で、カツオはヒスタミン中毒にあたりやすいサバと比べて圧倒的にヒスチジン含有量が多いのだ。
ヒスチジン自体は悪くないのだが、ヒスチジン産生菌が活発になる環境にしてしまうと一気にヒスタミンへ変化してしまうので取扱いに注意が必要な魚ということ。
これだけ見てしまうと、ちょっとカツオを適当な処理だけで寝かせるというのは怖くなる…。(とは言え寝かせて食べている人がいるのだからサバほど心配しなくて良いのではという根拠のない推測は持っているが。)
赤身の魚は全般的に腐敗しやすいかも?
カツオに限らず、赤身の魚は本来劣化しやすいのではないだろうか。赤身、つまりマグロもそうだが、キハダマグロもカツオに負けないくらいのヒスチジンを含み、さらに鉄分も豊富だ。
よく熟成マグロとか聞くが、あれは少し特殊な技術を使って熟成させているのかな、と思ってる。
可能性の高い要因と改善策
ここまでつらーっと考えてみた内容をまとめると、今回の失敗に繋がったと思われる要因は2つ。
- 不十分な血抜きによる血の腐敗による傷み
- 自重による身の圧迫からの傷み
血抜きに対しては、究極の血抜きとして紹介されている津本式が有名だ。帰宅してからホースでしっかり皮目まで血抜きできれば結果はだいぶ違ってくるかもしれない。
また、釣り場での血抜きも改善の余地があるかもだ。基本はエラ上部の膜と大動脈を切りつけて心臓の力で脱血していくが、それだけでなくエラをもってバケツ内で魚をふって念入りに処置することも追加しても良さそう。
自重による身の圧迫を回避するのは難しそうだ。
まずカツオをビニール袋に包んでたっぷりの氷水に入れて寝かせるという手法がある。が、それを実現出来るくらいの大きさ、性能をもったクーラーボックスが無いのでこれは不可。
続いて柵取りも考えてみるものの、やはり身の酸化が早まるので圧迫とならなくても今度は酸化による傷みが早まる。
…よし、、釣り上げたら血抜きをしっかりする津本式にチャレンジしてみるか…!!
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