20尾くらいの中型ニギスで食べ比べ
西伊豆のニギスを入手
ニギス。
伊豆での呼び方はメギス。キスという名はつくけどキスとは全くの別種で深海性の小魚。
最近ブリばっかり食べててちょっと食傷気味だったのでたまには気分を変えて食べたいなー、と思い、西伊豆の戸田の漁師さんからニギスを取り寄せてみた。
ここの漁師さんは深海系の魚をメインに扱っていて、ほかにもメヒカリやタカアシガニ、トロエビなど魅力的なお魚を格安価格で売ってくれる結構好きな漁師さん。
今回取り寄せてみたニギス。しっかり氷漬けになってるので流水で解凍してから使うもの。
ちなみに地元では練り物にもされるみたいで、脂のりの良い白身だとか。
シロギスより美味しいという評判もあるので(別種だから比較するのも変だけど)ちょっと期待してニギスの色々な食べ方を試してみた。
刺身、揚げ物、煮物、焼き物と和食のオーソドックスな食べ方を一通り試してみて、味わいの違いとともにニギスの下処理のコツも分かってきたので、「ニギスがスーパーに売ってるけど買おうか迷ってる」みたいな人は一読すると安心できるかも。
※食べた結果、かなり美味しくて食べやすい魚でした!!
この記事はこんな方向け
- スーパーで売ってるニギスを買う勇気がない!
- ニギスの美味しい食べ方を知りたい・・・
- ニギスとシロギスの味わいの違いを知りたい!!
ニギスの下処理のポイントは3つ
食べ方トライの前にニギスの下処理がちょっと特殊な感じだったで簡単にまとめておく。
- ウロコは弱いので流水&手ですぐに取れる
- 腹びれが魚体の後ろの方にあるので、トビウオと同じようにおろす前に取ってしまった方が良い
- 身が柔らかいくせに骨が硬い。捌くときはよく切れる包丁で慎重に。
1は良いとして、結構特徴的なのが2の腹びれ。
画像の通り、アジなら胸びれの下あたりに見えるはずの尻びれがずっと後ろにちょこんとついてる。これを付けたままおろすと後で邪魔になるので最初にとってしまうと良い。
続いて3の身の柔らかさも結構やっかい。ニギスの刺身を作るのを敬遠したくなるほどにやっかい。(笑)
こういう魚って食べれば美味しいことが多いんだけどねー。
出刃ではなく、よく切れるペティナイフなどを使った方がきれいに捌けそう。僕はニギス1本目を出刃で見事に失敗したので、2本目からはオピネルの炭素鋼ナイフを使ってさばいた。
たまーにナイフで捌いたりするとちょっとテンション上がるのでおすすめ!
3枚おろしにするとこんな感じに仕上がる。一番下の半身、真ん中あたりがちぎれたようになっているのは腹びれを最初に取ったところ。
ちなみに個体によっては腹に内臓脂肪をためている。↓こんな感じ。
脂がやばいぜ!!
5種類の食べ方トライ!!
下処理も終わったら早速食べ比べ!!
お刺身で食べてみる:柔らかくてエビの様な甘み
まずは生で食べるとどんなもんなのか試してみたかったので一晩ペーパーで包んで落ち着かせた後2匹くらいを使って切りつけてみる。
皮はかなり薄いのでうろこだけ流水いで洗い流したらそのまま3枚おろしにしてお刺身にしてみると、結構見た目が華やか!!
サヨリみたいに涼し気な雰囲気を出してくれるお刺身が出来上がった。
あら、これ美味しい!
血合い骨が結構存在感ありそうだったのであまり期待してなかったけど血合い骨ほぼ気にならないし、身はトロっとした柔らかさがあってアマダイのようにエビ系に似た甘みを感じる。
後味ははんぺんのような風味もありつつ、柔らか美味くて中々乙な味。
天ぷらで食べてみる:ふわっと濃いめの風味が美味しい
大抵水っぽい身は揚げ物にすると旨い。それに購入先のニギス紹介文にも「天ぷらではキス(シロギス)より美味しいと思います!」と書いてあったし期待はできそう!
おお、確かに上品な天ぷら。
シロギスより身にクセがなくて、でもなんか旨味があるのか美味しい。身質が不思議とジューシー。
ニギスって天ぷらのタネとしても優秀なのね。
一緒に食べた家族の評価は満場一致で「シロギスよりニギスの方が美味しい」ってなった。
塩炒りで食べてみる:ニギスのポテンシャルが分かりやすい
続いて塩炒り。沸騰させたやや濃いめの塩水に魚を入れて、火が通ったら塩水を捨て、そのまま水気が飛ぶまで炒りつける。
後はお皿に盛って大根おろしやお酢をかけたりして食べるだけ。マース煮と同じく塩と水くらいしか使わない調理法。
塩水を捨てるので意外と薄味に仕上がりやすいのも塩炒りの良いところ。
あー、これはなんだろう。上品な白身でなんだか不思議な美味しさ。
魚が小さいのに脂がのってるからなのかな?ハゼほど崩れないけどシロギスほどかたくなく、やはり身のジューシーさがすごく良い。
たとえるならメバル・・・?
さらに天ぷらじゃない分、身に脂がのってるのが良く分かる。少し残った汁にも脂が浮いていて結構な脂ののり具合みたいだ。
天ぷらより塩炒りの方がニギスの美味しさがより分かりやすいなー。
しかし美味しい魚だなーニギス。
煮付けで食べてみる:美味しい&食べやすいで超優秀
塩炒りが美味しかったんだから煮付けが美味しくないわけがないでしょ!と思ってそのまま煮付けも作ってみた。
ニギスは脂がのってるけど味わいは白身なので生姜も入れずにあっさりした味付けで作ってみる。
うまーい!うまいし食べやすーーい!!
塩炒りでも感じた脂ののり、身のジューシーさ、そして身と脂からくる不思議な美味しさはそのままに甘辛い味がのってきた!
塩炒りで「メバルっぽい」と思ったけど、今回はそのまま目隠ししたら「メバルの煮付け」と言われても気づかないかも。
そして塩炒りでうすうす感じてたのが煮付けで確信に変わった。
この魚、身が骨から離れやすくてすごく食べやすい。
結構イワシみたいな細かい血合い骨がしっかり入ってるんだけど加熱するとこれがきれいに取れるようになる。
ああ、おいしくて食べやすいなんて・・・ニギス素晴らしいわ・・・
一夜干し:シシャモ系のうまさ
ニギスは一般的には丸干しなどの干物で流通することが多いらしい。どれくらいの美味しさなのか気になっていたのでおやつがてら丸干しと開いた状態の一夜干しを作って食べてみた。
焼いてるうちから感じたんだけど、なんかシシャモ焼いてるみたいな香りがする・・・w
食べてみると干しただけあって旨味が濃くなってる。皮目がパリっとかたくなったけど相変わらず骨離れは良い。うまく骨を外せば1匹分まるごとぱくっと食べることもできる。
ちなみにシシャモより脂はのってて身質はしっかりめ。
これ、おやつに丁度良いな。
まとめ
見た目はかわいいニギス。
小型の魚でありながら、刺身でも煮ても焼いても揚げてもどうやっても美味しいお魚でした。
難点は身が柔らかいことと中骨がしっかりしていることのギャップによる捌きにくさ。
刺身にするときは3枚おろしにする必要があるけど、ちょっと丁寧におろしてあげないとすぐに身がグズグズになっちゃいそうなので気を使う。
その点煮付けや塩炒り、焼き物系はワタだけとって丸ごと料理してしまえば良いので楽だし、加熱した時の骨離れの良さがあるので食べやすい。
そして加熱した方がニギスの風味や独特の脂感、旨味を感じやすい印象。
ということで、、
- 沢山ニギスがある時や捌くのが面倒な時、ニギスの持ち味を存分に味わいたい時は丸ごと加熱系がオススメ。
- 捌くのが苦じゃない時やお刺身・天ぷらを味わいたいときは切れ味の良い包丁で頑張る!
刺身も天ぷらも本当に美味しかったので、心と時間に余裕があるときは3枚おろしチャレンジしてみる価値は十分にあると思う!!
今回取り寄せた西伊豆の戸田の漁師さんのサイトからはニギス&メヒカリといった複数バリエーションの組み合わせでも注文できるようになっているので、他にもチャレンジしてみたい人は覗いてみると楽しいかもしれない。
・・・ところでニギスの脂、他の魚の脂より融点が高い気がする。冷蔵庫に煮付けを入れたら翌日脂が白く固まってた。なんだか豚の脂が冷えたみたいな・・・。もしかすると他とは栄養素が結構違う魚なのかな?
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