養殖のブランドブリを食べ比べてみたい
最近、僕の中でブリがきてるんすよ。
落とし込み五目でワラサを釣り上げたり佐渡島からブリっぽいワラサを取り寄せてみたり大分のカボスブリを食べてみたりスーパーで新潟県産天然ブリを買ってみたりと色んなブリを食べる機会が多くなってきてるのです。
ブリって冬が旬なので単純に時期的なものもあるんだけど、様々な状態のブリを食べてみて思ったのが「ブリってものによって状態が全然違うのな」ってこと。
例えば・・・
- 天然と養殖
- 天然の時期と産地
- ワラササイズとブリサイズ
といった感じでに色んな条件で別の魚かってくらいに食味が変わる。それがブリだということを最近肌感覚で掴み始めた次第です。
ブランド養殖ブリの違い、わかりますか?
で、僕の中でふつふつと疑問がわいてきてます。
一般的に上にあげたような天然VS養殖みたいな違いは認識されてると思うんだけど、養殖ものの種類による味の違いってあまり気にしたことが無い。
養殖ものは脂がのっていて柔らかい。それはスーパーで買う養殖ブリを食べてて分かるんだけど、近年は各産地で次々に養殖ブリがブランド化されている。
かぼすブリ、みかんブリ、柚子鰤王、鰤王、すだちブリ、などなど。
ブランド養殖ブリって乱立しているけど、それぞれどんな味わいの違いがあるのかが分からない。検索してみてもいつものように「~~だそうです!」「~~のようです!」という全く信憑性のない情報ばかりであてにならない(-_-;)
そこで、ブランドもののブリを実際に食べていき、↓こんな点を記事で記録していくことにした。
①それぞれどんな味わいが特徴的なのか
②どういう食べ方をするとそのブリの持ち味が活きそうか
今回は初戦ということで長崎の「平戸なつ香ブリ」を実際に食べて記事としてまとめてみた。
この記事はこんな方向け
- 平戸なつ香ブリの食材としての特徴を知りたい
- 平戸なつ香ブリの美味しい食べ方を知りたい
平戸なつ香ブリの前評判
ブランドブリの差別化は水域や与える餌で行われることが多い印象。今回の平戸なつ香ブリ最大の差別化要素は餌にサマーオレンジ『平戸夏香(なつか)』の粕を加えていること。
それにより、4つの効果が得られている。(坂野水産HPより)
- 魚独特の生臭さが抑えられる
- 柑橘の香りがする
- 脂っぽくならない
- 身の変色が抑制される
かぼすブリのように柑橘の餌を与えることで脂をさっぱりさせ、抗酸化作用を強めたブリなのかな?という印象。
個人的には「脂っぽくならない」というところが気になる。養殖ブリってこれでもかってくらいに脂ギッシュにさせてるイメージが強いから、あっさりさせつつ美味しいのか?だとすると結構最高だな!
期待が高まるぜ・・・
今回取り寄せた平戸なつ香ブリ
平戸なつ香ブリ、今回はそんなに量食べないのでカマ付きの半身を頼んでみた。
養殖なので日付指定ももちろん可能!満を持してお魚を受け取るとこんな感じ。
中骨ついてない状態で重さは約1.3kg。長さも50cmのまな板に入る大きさなのでさばきにくいということはなさそう。
真空パックを開封すると真っ白な身が出てくる。
見るからに脂のりが凄そうなブリ様です。
6種類の食べ方で味わいを検証してみる
CASE1.刺身:身の柔らかさが印象的
お腹もすいてきてたので早速食べてみる!!
まずは奥が背側、手前が腹側で3切れずつ刺身にしてみた。
見た目は普通の養殖ブリ、スーパーでも割と見かける感じかな?
一口食べてみると、、あら、柔らかい。
香りがどうとか脂がどうとかあるけどまず柔らかいっすねこれ。
皮目に近いところはさくっとした食感が少しあるけど全体的には本当に柔らかい。すし飯との相性が良いかもなー。脂ののりはかなりのもの。でも、脂のりが良すぎてくどいとは感じないので「さっぱり」といえばさっぱりなのかな?
魚の生臭さとかは無いけどブリ系列の臭いはちゃんとある。んで、後味にすこーし養殖っぽい脂臭さが残る。脂特有の臭いといえば須崎勘八を思い出すなー。あのカンパチよりかなり臭いは控えめだけど後味で脂の臭いはあるな。
うん、とにかく柔らかいから寿司で食べてみよう。
CASE2.握り寿司:脂と酢飯の相性抜群!
海鮮丼みたいにしても良かったんだけどせっかくなので握ってみた。
腹側を使用。
お、脂ののった柔らかいネタが酢飯を包み込む感じがある・・・
これは美味いよ!!
薄切りで握ると良いみたい。
やっぱり酢飯と相性良いみたい!厚めに切りつけると不思議と酢飯と食感があまり合わない。ブリは薄めが良いのね。
CASE3.漬け丼:程良い身の締まりになって美味しさが増した
しょうゆとみりんで漬けにして食べてみたらほどよく身が引き締まって食感が上がった。
食感は良いけどしっかり脂の感じは健在。そして醤油やみりんの風味が身の中までしみ込んだためか脂の臭いもほぼ気にならない・・・うん、漬けも文句なしに美味い。
普通に刺身で食べるよりこっちのほうが好みかも!
CASE4.照り焼き:ややかためでネギと一緒に食べると旨し
ブリと最高に相性が良い白ネギと一緒に焼き付けて醤油みりんで味を乗せて食べてみる。
おお、こーれはかなりのサッパリ具合!!
背側の身を使ったからか、脂がそんなにのっている感じもないし身が締まってる。パサパサしてるわけじゃないけど身はやっぱりしまってるのが分かる。
そしてネギの香りでブリ特有の脂の臭いが完全に消えて食べやすさが出てきた。天然もののような身の締まり具合と養殖ものの脂を感じる、バランスのとれたおかずという感じ。
CASE5.塩焼き:柑橘っぽい香りが微かに出てきた
今度は尾の方の身と腹身に塩して焼いてみると、皮目からかなりの脂がしたたり落ちてきた。さすがのブリよな・・・と思い、大根おろしとカボスを添えてみる。
まずは尾の方を食べてみると、身は照り焼きと同じように結構しまってる感じがある。でも皮目の脂がかなりあるのでパサパサしているわけではなく食べやすい。脂の臭いもほぼ感じなくてくどさも無い。
腹身の方は・・・お、皮がパリっとしていて身はふわっと柔らかくて美味い!!
そしてどことなくすっきりした柑橘っぽい香りがある・・・?
脂自体は確かにすっきりしてるんだけどそれでも脂は脂。焼くことでだいぶ脂が落ちたと言え、まだ存在感が凄い。
二口目からは大根おろしと合わせてさっぱり感も出しながら食べるとくどさが相殺されて食べやすくなった。かわりに柑橘っぽい香りは無くなった。
この香りは結構繊細なものなのかも。照り焼きでこの香りを感じなかったのはネギに消されたからかもしれないな。
CASE6.煮付け:すっきりした脂に柑橘の香りが相まって中々の美味しさ
別名カマの煮付けとかアラ煮とか言われるけどいわゆる煮付け。ブリの香りを確かめたい&そこまで臭いの強いブリでもないので生姜は入れずに・・・。
カマの部分は腹側に脂が超絶のっていたので、稲取キンメの煮付けを参考に甘目の濃いめな味付けで5分ほどで一気に煮詰めるように作ってみた。
あー、これは間違いなく柑橘!!
柑橘の香りが隠し味的にだけどちゃんと存在感を感じる!
予想通り甘目&濃いめの煮汁がとんでもなく合う。これは美味しいわ!脂は強いけど割とすっきりしてるのがわかる。身は非常に柔らかくて箸でつまもうとすると崩れるほど柔らかい部位もあるほど。
うーん、スーパーで買う養殖ブリと一番違いを感じられるのは煮付けかもしれない。
まとめ
平戸なつ香ブリを刺身、寿司、漬け、照り焼き、塩焼き、煮付けという結構基本的な食べ方6種類で食べ比べてみた。
このブリの特徴として僕が明確に分かったのは大きく3つ。
- 脂がすっきりしていること
- 柑橘の香りを持っていること
- 身が非常に柔らかいこと
まず、身の柔らかさを活かす食べ方なら握り寿司。脂ののった身がきれいに酢飯を包み込むようになり、微かに持っている養殖の脂の臭いも消えるのでめっちゃ美味しく食べられる。
そしてすっきりした食べやすさや柑橘の香りは加熱した時に感じることができる。特に柑橘の香りをしっかり感じられるのはカマの煮付けにした時。柑橘の香りは平戸なつ香ブリのような柑橘系の餌を食べているブリしか持っていない香りだと思うので、普段と違ったブリの味わいを求めるなら煮付けがオススメ。
ちなみに刺身など生で食べると養殖の脂特有の臭いが少し顔を出すけど、酢飯と合わせたり加熱したりするとほぼ気にならなくなる。そして食べ進めていくと感じるのが、養殖にしては脂がやたらすっきりしていて食べやすいこと。脂にくどさをあまり感じなかったというのもこのブリの良いところ。
身が非常に柔らかいというのは、厚切りの刺身で食べると少し違和感を感じた。漬けにして少し身を締めると丁度良い歯ざわりになって丁度良くなったので、柔らかさが気になってしまう場合は身を締める食べ方を試してみると良さそうだ。
・・・ということで、平戸なつ香ブリは前評判通り、脂はすっきりして柑橘の香りもあった。脂のりがよいのにさっぱり食べやすいという良いブリだと思う。身も柔らかいし。
脂はのっていてほしいけどさっぱり食べられるブリを探しているなら、平戸なつ香ブリは間違いなくおすすめできそう!!
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