魚のカレーやビリヤニを作る時に必要なスパイスと食材の考え方【初心者向け】

マサラパウダーは密閉容器に入れて保存。お魚レシピ
マサラパウダーは密閉容器に入れて保存。

魚のカレーに使えるスパイスって何があるの?

お魚のスパイスカレーを作ってみたいと思ってて、でもハードル高そうで作ったことが無い人、実は結構いるんじゃないですかね?

だってインドカレー屋さんにいっても大抵お魚のカレーって1種類か2種類くらいしかないし、どのお店に入っても大体同じような味がするだけだし。

レシピ調べようとしてもいまいちピンとくるお魚カレーって少ないし。(そもそもバリエーション少ないし)

・・・というお魚カレービギナーへ!!

今回はお魚カレー中級者(多分)の僕が、本場でお魚カレーが作られるときによく使われるスパイスや食材、そして考え方のようなものを解説したい。

お魚カレーの入り口に立つ感じなので、まずは「ガラムマサラ」、ちょっとマニアックな「ビリヤニマサラ」といったミックススパイスについて解説したうえで、魚カレーに良く使われるスパイス&食材をご紹介。

この記事でスパイスや食材を紹介する理由

お魚系のサイトのはずなのになんで突然スパイスとかそんな関係なさそうな話を始めちゃうのかな?と思ったあなたへ。

実は、ここではたまにカレーやビリヤニなどインド系インスパイアっぽいレシピを紹介しているんですよ。

基本的にスパイスカレーを作り始めた人向けに紹介しているので作り方や準備する材料/スパイスもできるだけ少なめにそろえやすいものを考えている、の、です、が!!

どうしてもミックススパイスを使わないとこの味が出せない!というケースが出てきてしまったんですよ最近。魚のビリヤニのレシピを書こうとして、「あ、これビリヤニマサラないと作れないや」ってなってしまって。

ビリヤニって使用するスパイスの種類が結構多くて毎回レシピに全種類のスパイスの配合を書くのもつらいし、配合は各自の秘伝のようなものでもあるので紹介するのもちょっとためらう。

ということで、今回は丁度良いタイミングなので「ガラムマサラ」とか「ビリヤニマサラ」とかマサラ系について、そしてせっかくだから食材系についてもこの記事でちょろっと紹介してみようかと思ってます。

この記事はこんな方向け

  • 魚のカレーと相性の良いスパイスって何?
  • ガラムマサラとか紹介されてるレシピあるけどこれは何者?
  • 魚のカレーを作る時のポイントって何かあるの?
  • 魚のカレーに本格的に挑戦してみたい!

ガラムマサラの考え方

カレーやサブジなど色々なインド系の料理に使われるミックススパイス

少しカレーが好きな人なら聞いたことあるかもしれないのがガラムマサラ。カルダモンやクローブ、ブラックペッパーといったパウダースパイスが混ざって作られているもの。

使用されるシーンは大体2つ。

  1. 煮こみ(カレー)、炒め&蒸し物(サブジ)に使う
  2. 詰め物に使う(なんたらパラータ用のフィリングやサモサのフィリングなど)

ちなみにカレーを作るなら、ターメリック、レッドチリ、クミン、コリアンダー、ガラムマサラ、といった具合にスパイスを使っていく。ガラムマサラは最後の数分の仕上げのタイミングで加えることが多い。

実は必須というわけでもない

ただ、ガラムマサラには固定の数種類のスパイスを必ず入れなければならないという決まりはない。

実際に色んな人のレシピを調べると、地方や人によって配合がまるっきり違ったりする。ケララ風とかベンガル風とか。おばあちゃんからの秘伝レシピみたいな感じとか。

なので、カレーの完成形にはいってるスパイスの種類を考えると、「ガラムマサラ」という材料を使用していても実際は香りがかなり違う仕上がりになったりすることも多い。

そして魚カレーのバリエーション豊富な南インド系のカレーではガラムマサラを使わないことも多々ある。ガラムマサラが無くても美味しい、というか必要ないレシピが結構ある。

「カレーを作るんだからガラムマサラ用意しなきゃ!!」と思わなくても大丈夫。

ということで、このブログで紹介する魚系のカレーにガラムマサラが出てくる頻度は低めなはず。仮に使う場合は何のスパイスが入っていた方が良いか程度は記載するけどあまり厳密にそろえなくても良いかな、と思ってる。

とりあえず少し用意しておくか・・・という場合は市販品の少量のものを一つ持っていれば全然OK。

慣れてきたら作りたいカレーによって使い分けても面白い

僕の場合、ガラムマサラは既製品を使用したり自分で組み合わせたりとその時の気分で配合を変えたりする。

例えば↓これはあるコルマ(クリームタイプのカレー)を2~3人分作ったときのスパイス。左下のミルサーに入れてるスパイスはこれからグラインドして一回分のガラムマサラとして使う。他のカレーを作る時にこの組み合わせとバランスのガラムマサラは使用しない。

これだけのスパイスを使うと香りも複雑さを増す
これはお肉のコルマを作ったときのもの

時間に余裕がある時はこんな感じでホールスパイスからガラムマサラを一回分だけ作ってみて試してみるとだんだん好みの組み合わせや配合が出来てくるのでオススメ。

ビリヤニマサラの考え方

ビリヤニ(特にハイデラバード風)を作るためのミックススパイス

続いてビリヤニマサラ。

ビリヤニというのはインドのあたりで食べられているちょっと豪華な炊き込みご飯。旨く作ることができれば神の食べ物かと思うほどに香り高くとんでもなく美味しい。大好きな料理。

で、カレーとアルデンテに茹で上げたご飯を交互に重ねて固く蓋をして蒸し上げる(炊き上げる)というちょっと面倒なハイデラバード風(イスラム式?)の作り方をする際によく使われるミックススパイスがビリヤニマサラ。

ガラムマサラが結構汎用性高めなのに対してビリヤニマサラは華やかな香りを持ってくるビリヤニ特化型。スターアニスやナツメグ、メースの存在感を感じる配合が結構特徴的かも。これにさらにサフランやミントの香り、場合によってはローズウォーターやケウラウォーター(花から抽出した香りのある水)も足されるので、食べたことがない人にとっては想像もつかない不思議な香りの料理が出来上がる。

ちなみに、最近入れてるビリヤニマサラに使ってるスパイスは↓こんな感じ。配合率はビリヤニの面白いところなので色んなレシピを探してみて自分の好みを探してみるのがおすすめ。

  • クミン
  • フェンネル
  • ブラックペッパー
  • コリアンダー
  • ベイリーフ
  • カルダモン
  • シナモン
  • スターアニス
  • クローブ
  • メース
乾煎りしてからグラインドする
乾煎りしてからグラインドする

魚のビリヤニ用にスパイス変えた方が良い?

今のところ僕は魚のビリヤニを作る場合も基本的に肉系の場合と同じビリヤニマサラ(ハイデラバード風に作る用のマサラ)を使っている。なぜならそれでかなり美味しいから。

ただ、同じ「ビリヤニ」という言葉でもケララ地方の作り方は米から違ったり、グレービーとライスを交互に重ねるのではなく一緒に炊き上げる方式(ヒンズー式?)だったりと、かなりバリエーションが多い料理でもある。調べた感じでは↓こんなバリエーションがあった。

  1. マサラの配合にスターアニスやナツメグ/メースを使わずレッドチリとカスリメティを多く使う
  2. ご飯を炊く時のスパイスにディル(ハーブ)を追加する

①のようにするとかなり強烈な香りのビリヤニが出来上がる。香り高いというよりは食欲がどんどん出てくるカレー系になるけど、正直これもとても美味しい。

②も面白かった。ビリヤニはご飯を炊く時もホールスパイスを加えるのが定石なところにディルを大きめに刻んで追加する。食べている時ふわっとほのかにディルの香りが混ざる時があってすこし贅沢な香りになる。

ビリヤニを作るハードルが高いという人はまず大手メーカーの配合を試すところから

ビリヤニにはこれだけ多くのスパイスをパウダー状態で使うことになるのでインド料理ビギナーには結構ハードルが高い。ので、そんな時は既製品を使って作る。

例えば↓MDH社のビリヤニマサラ。MDH自体がインドで2番目くらいのシェアを誇るスパイス企業なのでそこがだしてるミックススパイスなら異国の味はちゃんと作り出せるはず。

カレーに複雑さを持たせたいときにガラムマサラとセットで使うのもアリ

基本的に家庭ではミックススパイスは大量に作ってストックしておかない方が良いと思ってる。なぜなら香りがどんどん消えていってしまうから。

なので少量つくって早めに使うのが良いんだけど、作る量は少し多めのほうが作りやすいというのもある。

で、そんな作りすぎてしまったときは、カレーを作る時ちょこっと混ぜて使うと良い。

カレーに妙な複雑さが出て美味しくなることが多いので、(入れすぎない限り不味くなることはあまりない)持て余すようならカレーに使おう。

インドの方のレシピを見てると結構色んなマサラを混ぜて使ってるのを見かける。ガラムマサラ+チャットマサラとか、チャットマサラ+ビリヤニマサラとか。どんな香りになるのか正直まったくわからない(笑)

魚に使用される特徴的なスパイスと食材

ガラムマサラとビリヤニマサラについて紹介したので、ここから本題。

魚系の料理やカレーに有効なスパイスってどんなもんなのか。カレーを作る時によく使われるのはどんな食材か。

一般的に使われやすいスパイス、魚にも通用するパンチのあるスパイスの組み合わせ、色々な地方で魚料理に使われやすいスパイス&食材、の3つでまとめておく。

一般的に魚と相性が良いとされるスパイスはフェンネル

まずは一般的に、日本国内でわりと知られてそうなお魚スパイスといえばフェンネル。甘く清涼感のある香りで、単体でかじったりすると非常に好みの分かれるスパイス。

西欧でも魚料理の香りづけにはスパイスだけでなくハーブという形で結構な頻度で登場するので、フェンネルは多分、魚に合わせたがる人が多いスパイス。

僕は単体ではそこまで好きじゃないので正直無くても良いかなって思うことも多いけど、他のスパイスやニンニク系の香りと合わさると青魚でも白身でも香りがとても爽やかになって良い。

インドカレーを作り始めてチキンカレーは何回か作ったからそろそろフィッシュカレーにチャレンジしよう!みたいな人はフェンネルぜひ使ってほしい。チキンカレーではあまり使われないのでまったく雰囲気の異なるカレーが出来上がって面白いと思う。

魚とか関係なくパンチのあるスパイスの組み合わせ

魚でも肉でもがっつりした香りをつけるなら単体ではなく組み合わせで考えた方が簡単。例えばこんなん。

  • にんにく+レッドチリ+メティ(カスリメティ)
  • にんにく+生姜+クミン

このあたりの組み合わせにするとしっかりしたパンチのある香りになる。スパイスの種類を多くしすぎるとそれだけ個性が弱まるので、尖った香りにするなら数種類に押さえた方が効果が出る。

たとえばスパイスをまぶして揚げ焼きにするような料理を作るならガラムマサラを使うよりも数種類の組み合わせと塩だけで作った方が間違いなく尖った力強い風味が出る。

各地方で魚によく使われるスパイスや食材

一口にインドと言っても北と南で大分カレーの作り方は違うし使う材料も違う、ついでに食べ方も米をあわせるか小麦を合わせるかといった具合に全然違う。

なので、魚の料理を作る時も違いが良く出てくる。

魚を使うのはやっぱり南部がメインになってくるので、南部をベースに良く魚(に限らない気もするけど)料理に使われている特徴的なスパイスをイメージしてみると大きく2つ。

  • マスタード
  • 青唐辛子

マスタードはベンガル地方の使い方が一番特徴的。青唐辛子は全国的に良く使われるスパイス(ハーブ)で、辛味もそうだけどその香りが重要視されるという点で、また結構特徴的。

そして食材としては全体的に酸味を加えるカレーが多い。サラサラカレーにするかもったりカレーにするかは個人の好みだけど、どちらにしても酸味を強めに効かせたカレーが多いのは事実。日本の煮付けのように甘くてしょっぱいみたいな味付けは今のところ見たことが無い。

ちなみに南部のお魚カレーはサラサラ系が非常に多い。とろっとした感じのカレーを作りたい人は「サラサラ系か~」と少し残念に思うかもしれない。が、南部は主食がご飯なだけあって白米との相性が抜群に良い。よって、レシピを調べてみてサラサラ系がヒットしたら逆に味は保証されたと少し安心できる。

マスタード

ベンガル地方ではつんとした香りをもつマスタードオイルを多用するが、魚料理でもマスタードはやはり使われる。さらにマスタードペーストとしてもつかわれる。

イエローマスタードもあるがブラウンマスタードも主流。マスタードフィッシュカレーという名前のカレーがあるくらいで魚とマスタードの辛味・酸味はカレーでも相性が良い。

ベンガル料理を作るにあたってマスタードオイルは必須、かつ一品に結構な量が必要になるので必ず用意しておきたい。

青唐辛子

スパイスと言って良いのかあやしいけど青唐辛子、結構な頻度でココナッツを使う魚カレーには登場する。辛味もそうだけど香りも大事。

南部に限らずかなりの頻度で使われているような気がする。日本ではフレッシュの青唐辛子はちょっと高いので、青唐辛子数本+ピーマン半分とか、しし唐で代用といった使い方でコストを抑えられる。

酸味(タマリンド、柑橘、酢)

そして魚料理と良くセットで扱われるのが「酸味」。肉系のカレーだとヨーグルトやトマトの酸味がカレーに活かされる一方で魚のカレーの場合はそれにプラスした酸味が加えられることが多い。

タマリンド

エスニック系の料理だとたまに出てくるタマリンド。そのままのものとペーストの2種類あるが圧倒的にペーストが使いやすい。そのまま食べると梅干しから梅の香りと塩分だけ抜いたような酸味が感じられる。強い香りはほとんど無いかも。

東南アジア系の魚料理には結構な頻度で出てくる酸味のある食材。タマリンドフィッシュカレーと呼ばれるカレーが存在する。

柑橘

レモンやライム果汁と少量の塩で魚の切り身を軽くマリネする。これで魚の臭み消しにするのが東南アジアっぽいんだけど、これがカレーに入ると爽やかな香りとともに結構強い酸味が加わる。

ココナッツミルクを使う場合には柑橘の酸味と香りは特に有効で、甘みと酸味がとても良く調和したカレーに仕上がる。

東南アジア各地で食べられているココナッツミルクカレーのフィッシュモリーにも入れるバージョンと入れないバージョンがある。

個人的には入れた方が断然好き。

ゴアのあたりにはポークビンダルーのようにワインビネガーを使うカレーがある。魚に対してもマリネする時に柑橘ではなく酢を使うケースもある。この場合もカレーにいれればその酸味が活きてくる。

まとめ

今回は本格的にお魚カレーに挑戦するにあたって使われるガラムマサラやビリヤニマサラ、そして各地方のカレーでよく使われる食材、お魚カレーに目立つポイントを紹介した。

ざっくり書くと、こんなまとめ方になる。

  • ガラムマサラはあまりこだわらなくても大丈夫。(あれば便利)
  • ビリヤニマサラは市販品で試してみる。
  • 魚に合わせるスパイスはフェンネルやマスタード、青唐辛子などがありますよ。
  • 魚のカレーには酸味を足すことが多い。タマリンド、柑橘、酢。

魚のカレーは本当に酸味を加えることが多い気がする。ただ、酸味といっても色々な食材のバリエーションがあって、どんな食材をどうやって加えるか、どのタイミングで加えるか、それに他のどんな食材を合わせるかで出来上がるカレーはガラッと印象を変えるので色々試してみても面白い。

現地で食べられている魚のカレーをイメージして作ると、サラサラしたカレーになりやすい。ちゃんと作ればご飯が止まらなくなるほどの美味しさなので、インドカレーはもったり派の方も是非一度サラサラ系のお魚カレーを作ってみてくださいませ!

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