クロシビカマス(スミヤキ)をいろんな食べ方で試してみた
釣りでは外道だし、謎がおおい深海魚?
この真っ黒なクロシビカマス。先日東伊豆で2匹釣ってきたり、沖の瀬でデカいのをさらに3匹釣ってきたりと相模湾での根魚五目では割とメジャーな外道。
初めて見るのでどうやって食べると美味しいのか全く分からない未知の魚だと思う。見かけは本当に黒いし、歯はギラついてるしで結構深海魚ちっくなインパクトがあってこの魚を初見で食べようと思う人は少ないかも。
釣りにおいても結構嫌われやすいはず。仕掛けの上のラインごと噛み切ってしまうのでオモリごと仕掛け全ロストしやすいというかなり面倒な魚だ。仕掛けをがっつり切ってくるのでナワキリという名称で呼ばれるエリアもある。
でも、東伊豆や小田原では地魚として一定食べられている魚のようだ。そして脂のノリが良い白身の魚ということでWeb上での味の評判は上々。
皮目には骨があって食べづらさがあって、骨切りをして調理するといったひと工夫が必要になったりと、食べ方でも一癖ある魚だ。
・・・ということで、今回はこのクロシビカマスを8種類の食べ方で食べ比べてみた。
焼く、煮るの他に刺身や骨切りした寿司にして食べてみたので、それぞれどんな感じだったかメモしておく。(揚げは試すの忘れてた・・・)
ちなみに先に結論を書くと、この魚の美味しさを活かす食べ方は塩焼きや一夜干し、それか薬味で華やかに仕上げるなめろうが良さげ。
食べやすさと生の美味しさをとるならなめろうが一番!魚らしい味わいを求めるなら焼き物!って感じかなー。
この記事はこんな方向け
- クロシビカマスを初めて入手したけどどうやって食べると美味しいのか知っておきたい
- クロシビカマスの食べづらさって具体的にどういう所なのか気になってる
- クロシビカマスって合わない調理法あるのか調べたい
食材としてのクロシビカマスの特徴
黒い外見とは裏腹に真っ白で脂の乗った白身
クロシビカマスは外側が真っ黒で食べられる魚なのか若干怪しい雰囲気を持っているけど、いざ3枚におろして見ると見事なほど真っ白な白身が現れる。
血合もほとんどなくて、うすーく紅色がさすくらいのもの。捌いてみるとわかるが、しっとりとした身質と、身全体に脂がよくまわっていて中トロっぽい感覚がある。
これで骨がなければかなり上等なお魚。美味そうだなー!!
皮目の骨が中々の難敵
皮目に骨が多く、骨切りなどの技術が必要となる。という事前情報はネットで仕入れていたけど、実際にどれくらいの骨がどんな感じに入っているのか実際に確かめてみたのがこちら。
クロシビカマスはなめろうやたたきで食べるのが結構メジャーな食べ方らしいので、下処理ついでにスプーンで身をかきだしてみる。と、、↑こんな感じに皮目の骨が浮き出てくる。
え?こんなにがっつり骨入ってんの?
そう、こんなにしっかり骨あるんですよ。。
血合いから身の上下に向かって長い骨がたくさん詰まってる。スプーンでかきだすと結構分かりやすい。
大きい型が釣れたら切り身はアリなんだけど、そんなに大きくないのであれば骨をどうにかするのはちょっと難易度高いかもしれない。
ということで、この魚は骨が邪魔というのが特徴的。食べるときは骨とどう付き合うか考えた方が良さげだ。
- スプーンで身の部分だけかきだす
- 皮の方から骨切りする
- 身の方からの骨切りする
- 諦めてそのまま調理する(箸でコツコツ食べる)
クロシビカマスを美味しく味わう食べ方を検証してみる
さばいてみてある程度クロシビカマスの雰囲気はわかってきたので、生、焼き、煮の3つの基本的な食べ方にバリエーションつけて食べ方比較を実施してみた。
case1:煮つけ
まずは煮付け!適当に切って酒、しょうゆ、みりん、水すべて同量で沸かして切り身を投入。そのまま10分ほど煮付けてみる。
見た目は上々!(皮目の骨がなければ)超美味しそうなビジュアルの煮付けになった。
まず香りの方は・・・お?なんだか皮目に独特の香りが・・・しますねぇ・・・。これはクロシビカマスの香りですかね・・。うーん、この香り、気にする人もいるかもしれないかな?生姜とか入れたほうがもっと煮汁の香りが馴染みやすくなる気がする。
腹側の身は脂が身に入ってて柔らくて、味わいはあっさりしてるけど脂感がおいしい白身。背側はけっこう身が締まるみたいだ。煮付ける時間は短時間でささっと仕上げるのが良さそう。
旨味はわりとあっさりめで味が良いというよりは脂のり良く柔らかく、あじわいさっぱりめな白身。
そして食べづらい。骨・・・。
慣れればささっと骨を取り分けてたべられるのかもしれないけど初クロシビカマスの身にとっては皮目の骨が邪魔でしょうがない。煮付けなら骨切りした上で調理したほうが良さげ。
大型のスミヤキで生姜も加えて煮付けにしてみた
その後、大型のスミヤキを釣り上げたので再度煮付けにしてみた。
今度は生姜も加えて、かつ濃いめの味付けにしてみたら・・・?
ほう!!独特の香りが一切なく本当に上品で脂ののった味わいで非常に美味しい!!
魚が大きいだけあって皮目の骨も大きく逆に取りやすくて気にならない。これなら煮付けも選択肢の一つとしてはアリかもしれない。
クロシビカマスは生姜で、できるだけ大きなものを使うと良いね!!
case2〜3:焼きもの2種
続いて焼いて食べてみる。普通に塩して焼くのと、煮付けで味がかなりあっさりしていることがわかったので旨味を凝縮させる一夜干しでも食べてみた。
case2:塩焼き
煮付けに懲りず、というか面倒くさいので骨切りはせずに塩焼き。塩を振って30分ほど馴染ませて、水気を拭いて魚焼きグリルでしっかり焼く。
煮付けのときと同様にクロシビカマスの独特の香りがわかる。別に嫌な香りではないんだけど結構特徴的で他では感じたことのない香りなので「おお、こいつはまた個性的な・・・」と思わせる存在感のある塩焼き。
骨はもうあきらめて丁寧に取り外して食べてみると、脂のりの良さがすごくよく分かる。脂が強すぎるというところまでは行かないんだけど、やっぱり身全体に脂がまわっていて骨さえなければしっかり美味い。
骨さえなければ。
大型でも塩焼きチャレンジ
煮付けと同様、大型でも塩焼きを作ってみる。
うーん、文句なしに美味い!!!!
皮目の骨も大きく太くなってるので取りやすいし、皮目の方の脂も堪能できるしでこれは問答無用の旨さを感じる。クロシビカマス、これは良い魚だわ・・・
case3:一夜干し
塩焼きでは独特の香りや脂の美味しさがダイレクトにわかる感じだった。続いては塩&ピチットシートで一晩おいて脱水した一夜干しを焼いてみる。
あ、これもうまい!!!!
塩焼きより明らかにこっちのほうが美味しい!!
煮付けや塩焼きでは旨味自体はあっさりしている印象だったけど、一夜干しにして旨味自体も感じられるようになった。これで脂の美味しさ+干した旨味で美味しいお魚の条件が整った感じ。
うん、一夜干しは文句なしに美味しいわ。
・・・
骨さえなければもっと美味しいね。
すこーし塊で身が取れたと思ったら十中八九、骨が2,3本埋まってるんだよなー。食べにくすぎるな・・・。小さいからダメなのか?
case4〜8:生で食べる系5種
今の所煮る、焼くの食べ方では一夜干しで味を濃くして食べるのが良さそうな印象。刺し身で食べると中トロのようとも形容されている魚なので結構期待しながら食べてみる。
case4:シンプルにたたき
まずはシンプルに刺し身で。スプーンで骨を避けながら身をそぎ取ったものを軽く包丁でたたいて、それに醤油をちょろっとたらして食べてみる。
お、ほんのりした酸味としっかり脂がのってる味わいが中々美味しい。食感ややとろっとした感じがあって、香りを上品にしたマグロという例えがしっくりくる。
煮付けや塩焼きにしたときに感じたあのクロシビカマス特有の独特な香りは全く感じず、すごく上品な味だ。脂の美味しさはあるもののやっぱり味自体は薄いので今ひとつ物足りなさは拭えない。
これは、、ネットの前評判通り、確かにユッケとかにすると相性良いかも。小葱と合わせればもはやネギトロになるかもしれない。
case5:海苔とあわせて軍艦巻き
たたきが上品なマグロチックな味だったので酢飯とも相性良さそうだな、と思って軍艦巻きにしてみた。
山葵と醤油をつけて一口食べてみると、、やっぱり酢飯との相性は良いみたい!脂ののった癖のないトロのような身が酢飯とあう。ただ、味がかなり控えめなのでやっぱり小葱などの薬味を付けて食べた方がより美味しいかもしれない。
つぎは思いっきり味を加えて食べてみよう。
case6:味噌や薬味をあわせてなめろう
味を付けるといえばなめろうなので早速作ってみた。
紫蘇、しょうが、味噌、みりんを加えて、よくたたき、かるく粘りが出てきたら完成。
いざ食べてみると、・・・お!!香りや味に華やかさがプラスされて美味しさが一気に上がった!
文句なしにこれ美味しいわ!!
少し甘目の味付けが相性良いみたい。トロっとした脂ののった身に薬味の香り、そして甘みのある味付けがかなり良い!クロシビカマスを生で味わうなら、なめろうみたいにしっかり味を付けてあげると華やかになるなー。
※その後肝和えも作ってみたけどかなり味わいが濃くなるのでやっぱり薬味はあった方が良さげ!
case7:薬味控えめなネギトロは?
ネギトロ丼も作ってみた。たたきに小口ネギを混ぜ合わせるだけのシンプルなやつ。
はい、美味しいです!!
やっぱり薬味との相性が良いんだな。味を装飾することで優しすぎる風味が豊かになり、脂の旨味も感じやすくなるみたい。
case8:骨切りして炙って握り寿司はどうだ!?
ここまでで刺身系なら薬味が良く合うということが分かった。
せっかくなので骨を避けるのではなく切りに行く攻撃的な調理でクロシビカマスを食べてみる!!
骨切りして寿司ネタの大きさに切り分け、炙って皮目の脂を浮きだたせたら酢飯と一緒に握る。薬味がないので代わりに脂物と相性の良い香酸柑橘を使用。今回はカボス。
あと一歩って感じだ。原因はたぶん骨切りのスキル不足。
まず脂感が強くて美味い。皮目に脂が集中しているようで、炙ると脂がしたたり落ちてくる。
そして炙っているので炙りの香りとさらにカボスでさっぱり感も出てまた美味い。身質も柔らかいので酢飯とは相性が良いはず。
なんだけど、骨切りがさすがに素人レベルだったからか、「十分食べられるけど骨はあるよね」ってなっちゃった・・・
やっぱり骨が気になるなー。骨切りがもっと熟達したらまったく気にせずふわっとした脂感のあるリッチな身質を堪能できるのかな?
まとめ:骨の処理と味の装飾が美味しく食べるコツ
骨切りかスプーンですきとる
まずこの魚、骨が多い。しかも他の魚と違って皮目に大量の骨が入っていて食べながら取り除くが面倒すぎるので、まず骨をどうにか処理しないと気持ちよく食べることは難しい。
大型なら皮目の骨も太いので切り身でも食べられるが、小型だと細い骨が密集しているようになってしまうので骨切り、スプーンでそぎ取りといった処理は必須と考えておいたほうが良い。
ただ、骨切りは初心者レベルでは少し気になる食感になるのである程度の練習が必要だと思う。
スプーンですきとる方法をとらないなら、できるだけ大型のクロシビカマスを使った方が間違いなく食べやすい。今のところ、50cmを超えサイズであれば皮目の骨が結構太いので切り身で煮付け、塩焼きでも食べにくさをさほど感じていない。
身質は脂のよくのっているふわっとした白身で超優秀
骨の処理の面倒さ、食べにくさはあるものの、身質は味わいスッキリかつ脂ののったしっとりした白身。
加熱すると独特の香りが少し感じられるので、煮付けにするなら生姜も合わせて濃い味が相性良い。
塩焼きや一夜干しにすると旨味が感じやすくなりクロシビカマスの美味しさをしっかり味わえる。
そして生で食べるなら断然なめろう!次点でネギトロ!
生をそのまま食べると脂感はあるものの味があっさりしすぎてどこか物足りなさを感じるので、何かしらで風味、甘みを足してやると化けること間違いなし。
クロシビカマスの脂は皮目に多い。なので、骨切りして皮目を炙ってやると脂感が強く出てまた美味しい。骨切りをきちんと習得すれば炙り刺身も結構ハマる美味しさだと思う。
他の調味料と喧嘩しない素直な魚だったので、骨さえどうにかすればいろいろな食べ方で楽しめる魚かもしれない。次に釣れたら今度はさつま揚げやおび天みたいにして食べてみるのもありかもな。
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