前回の反省を活かし、今回は津本式で徹底的に血抜きを実施!!
思えば1年前、せっかつ釣り上げた貴重な2本のカツオのうち1本は熟成に失敗してしまった苦い思い出が。あの時失敗した原因って確か血抜きが甘かったことが一番可能性として大きかったような気がするんだよなー。
今回はカツオが3本。
昨年より小ぶりとはいえカツオらしくそれなりに大きいし、なにより3回のタイミングで食べ比べることができるのは結構魅力的だ。カツオはヒスチジンが多い魚なはずなのでしっかり処理をしないと即腐敗につながりやすいので結構処理には気を使うけど、それでも「寝かせたカツオ」という今まではほとんど聞いたことが無い食べ方を試してみたい。
ということで、今回はもうこれでもかと言うくらいにしっかりと血抜きをしたうえでカツオの10日熟成に挑戦だ!!
今回の処理
今回は釣り上げた瞬間から↓こんな処理を実施。
船上での処理
- 釣りあげたら極力船底に置かず血抜きをする
- ピックによる脳天締めは難易度高いので、釣り上げたらエラを切って血抜き→ある程度抜けたら尾部を切り取り神経締め
- ここまでを1分ほどで一気に済ませて海水氷の入ったクーラーボックスへGO!!
船上での処理では、ピックを使う脳天締めは難しすぎて諦めた。カツオが元気良すぎて固定できないので即座にエラ切りがよさそう。↓こんな感じで尾を持って頭を下にし、ナイフでエラと動脈をカットする。
持ち帰ってからの処理(釣り上げた当日)
- 1尾ずつ、クーラーボックスから出し、津本式の脱血を実施(かなり血が抜けるのでいつもより3倍くらいの時間かかった)
- 水抜きをしている間に次のカツオを出して脱血する
- 水抜きをある程度できたら水気をふいてペーパー+ラップで巻き、冷蔵庫で2時間ほど(最初の1,2時間は魚からまだ水が出やすいっぽい)
- 2時間経過したら再度洗い、水気を取ったうえでグリーンパーチ+厚手のビニール袋で軽い真空状態にし、氷温冷蔵
カツオはかなり血が多いみたいで、ホースで水圧をかける血抜きがほかの魚よりかなり時間がかかる。温度が上がりすぎないように気を付ける必要あり。
今回は3回のタイミングごとにカツオを食べ比べてみた
これだけ丁寧に処理をしたカツオなので大切に食べたいもんすなー!と思いつつ、2日目、4日目、そして10日目とそれぞれ食べ比べている。
例によって経過日数の数え方は釣り上げた当日を0日として計算。
2日目:臭みも癖も全くないマグロのようなモチガツオ
まずは2日目の状態がこちら!実家に帰省してからさばいて食べたカツオの半身。
この時点で気づいたのが「色があまりよくない・・・?」という点。脱血した効果だと思うけど、見た目は津本式脱血をしなかった去年のカツオの方がかなり綺麗だった。
味の方は大丈夫なのかな?
ちょっと心配になりつつもおおぶりに切りつけて食べてみると、、
お?なんだかいつものカツオのあの癖が無い!
カツオ特有の血なまぐささというか鉄っぽい風味が・・・無い!?
いつも食べてるカツオと全然別物!カツオだというのは分かるんだけど、これにショウガみたいな強い薬味があまりあわない。
むしろ山葵と醤油で食べると丁度良い美味しさになる。
そして食感がモチっとしてて美味しい!!この食感はしっかり血抜きしたカツオだからこその味わい。モチガツオってこういうことかー!!
癖のない非常に上品なカツオに仕上がってたなーと思ってると、家族曰く「マグロ食べてるみたい」とのこと。なるほどマグロね。食べればしっかりカツオと分かるけど、マグロの赤身の様な感じ、確かにある。
なんだか今まで食べたカツオとは全然別物で面白い!
4日目:モチガツオっぷりは健在。微かに香りが出てきた・・?
続いて4日目のカツオ。まだ目はかなり澄んでいて鮮度に問題はなさそうだ。目の後ろ付近がややピンクになっている個体は脂がのっていると誰かが言っていた気がする。
とはいえ1.5kgくらいの小さめカツオだしあまり期待せずに柵どり、皮を引いてみると・・おお!結構な脂の乗り具合!
小さくても戻りガツオだね!!
2日目のカツオはすべて刺身でいただいたので、4日目は刺身とたたき両方で。半身余りそうだったので、西伊豆の伝統食品である潮鰹にまわしてみた。
たたきは柵どりした背側の身をガスバーナーで丹念に炙る。特に皮目はしっかり焦げ目がついて脂がじゅわっと言うくらいまで炙って、そのあと急冷する。冷凍庫にアルミを敷いておいて、その上に乗せると一瞬で冷えるので楽だ。(ほかの冷凍食品にダメージでるかもだけど)
本場のたたきは切りつけた後に塩をぽんぽんと付けていくらしい。ぽんぽんと付ける動作がたたきという名前の由来だとか。
まず刺身の方を食べてみると
おん、大変うまい。
食感は2日目と変わらずもっちりガツオ。風味はやや熟成された香りみたいのが出てきたかも?味にほんの僅かに苦みが含まれ始めている。
2日目と比べて驚くほど何かが変わったという印象は受けないけど味わいと風味がやや変化してきている気がする。相変わらず山葵との相性が良いけど、しょうがとの相性も良くなってきた。血の香りではないんだけどカツオらしい風味が強くなってきたかもしれない。
続いてたたきを食べてみると
ぎゃー!こいつはカツオだ!!
刺身と違ってカツオの香りが超強くなった。臭いわけではないんだけど風味が強い。上品な刺身の後に食べたからかパンチが強すぎ(笑)
これだと生姜と合わせた方が美味しくなるわ。
そして食感のもっちり具合もあまり感じなくなった。血抜きした効果を味わうならたたきじゃなく厚めに切りつけた刺身の方があっているかもしれないな。
10日目①:10日寝かせたカツオは丁寧な処理が必要
いよいよラスボス!10日目のカツオ1.7kg!!
正直釣ってから10日も経つとカツオの存在をほぼ忘れてしまい思い出したころに状態を確かめながら寝かせていた。
包みを取ってみると↓こんな具合だ。さすがに目は濁っている。微かに魚っぽい臭いも出ているが流水で洗うとほとんど消えた。
変色しているところや血合いはトリミング
3枚におろしてみると、腹周りと尾部が酸化して変色が進んでいるのが分かる。ここは思い切って大胆にカット。食べても問題ない部位だけにトリミングしていく。
腹周りと尾部をカットし、上下の柵に切り分けたのがこちら。今回は多めに残っている血合い部分も可っとして赤身だけを食べることにした。
今回はここからさらに血合いもトリミング トリミング完了
10日目②:旨さ爆発!!食感はモチからねっとりへ
さて、ここまで来てようやく10日熟成のカツオを実食。まずは腹側を刺身で!!
おおお!これは確かに美味しい!!
カツオの旨味と風味が瞬間的に爆発する感じ!熟成させた白身は全く別の味わいで面白い。食感はモッチリも保ちつつ、ネットリ感が出ていて酢飯との馴染みが非常に良さそうだ。
2日目のカツオは上品な美味しさがあったのに対して10日目のカツオは濃い。香りがきついとかじゃなく、風味旨味が薄口しょうゆからとんかつソースに変わった感じ。ちょっとオーバーな表現だけど、10日目のカツオは確かに寝かせた分だけパワーアップしているのが分かる。
これだけ濃くなってるんなら強い薬味との相性良くなってるんじゃないの?と思って針生姜とスライス玉ねぎを用意し、醤油をかけて食べてみた。
うまい!!!!なんだこれやべえ!!
さっきの刺身から段違いで美味しい!
濃くなったカツオの風味と薬味の相性がとてつもなく良い。生姜と玉ねぎ、醤油の香りとカツオの爆発的な風味と旨味が相乗効果で非常に瞬発力のある美味しさに変わってる。
クロムツのあの脂と旨味とが混然一体となった美味しさとは全くちがうベクトルだけど美味しさのレベルは同等かもしれない。
いやー、、びっくりした。10日目のカツオを薬味と合わせるととんでもなく美味いな。
食感はモチっとしてる中にねっとりとした滑らかさと柔らかさも出てきてるので酢飯との相性もすごく良さそうだし、握り寿司でおろし生姜を乗せると超美味そう。
・・・来年まで持ち越しかな・・・
まとめ
今回は10日目までの熟成は大成功!!前回の失敗をちゃんと活かせた結果にもなったし、10日目まで刺身で美味しく食べられることが分かったのは個人的に大収穫。
カツオは他の魚よりかなり血が多いので念入りに血抜きしたうえで寝かせてあげるのが長期間の熟成のポイントなのかも。
そして味わいの変化を軽くまとめるとこんな感じ。
- 2日目・・・臭みのない上品なもっちりカツオ。マグロの赤身にやや近い。山葵との相性が良い。
- 4日目・・・寝かせた風味が出てくるもののまだまだ上品なモッチリカツオ。生姜が合うようになる。
- 10日目・・・風味旨味ともに濃くなり一口目で今までと違う美味しさが分かる。薬味との相性が抜群。食感はやや柔らかくなり酢飯との相性も良さげ。
しっかり脱血されている分、色合いはすべてくすみ気味。食欲をそそるあの鮮やかなカツオの赤色は一切なかった。
10日目になると酸化して色が変わっている部分も出てきていたのでトリミングしたうえで食べるのが安全。食あたりしないように丁寧な処理が必要。
そして脱血してから日が浅いうちは癖が無さ過ぎて、薬味としては生姜より山葵の方が良く合う。日数が経過していき独特の風味が出てくるに従い、山葵から生姜に相性の良さが変わってくる。
そのため、初日からカツオのたたきを思い切り食べたい!と言う場合は船上での血抜きだけにしておいた方が楽しめると思う。
ここは個人の味の好みや、いつどうやって食べたいかによるのかな、と。薬味全開で豪快に食べるなら血抜きそこそこの方が「カツオはやっぱこれだよ!」ってなる気がするなー。
そして津本式の脱血となんちゃって真空での氷温冷蔵ができれば自分で食べるタイミングを好きにコントロールできるからかなり魚の食べ方の自由度が広がるんだな、ということは今回実感できた。釣った魚を食べるタイプの釣り人は「脱血」というのは必修科目扱いの技術かもしれない。
と、いうことで今回のカツオは満足でした!次回、来年は10日熟成鰹の握り寿司食べるしかないな!!
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