タチウオって熟成できるものなの?寝かせると美味しくなるものなの?
船酔いにも負けずに満足する量釣れた今回のタチウオ、この魚も寝かせるとまた味わいが変わっていくのかなー?と思ってネット調べてみるとまた見事に情報が無い。
ということで実際に寝かせてみて、そもそもタチウオは寝かせて食べられるのか、寝かせられるとしてどんなふうに味わいが変化していくのかを検証してみることにした。
タチウオは他の魚と違って皮に鱗がない魚。
そして一般的に刺身の場合は皮も一緒に食べるタイプなので、表面に菌が付着してたりして安全に食べることができるのかとか、保存に適していないんじゃないかとか、、結構不安に感じるところも多いんだよなー。
タチウオが釣れた場合にどれくらいまでが食べられる期限の目安になるのか全く分からず、チキンレースみたいな感じもあるので、臭いや味が変だと思ったらすぐ中止するようにしよう。
今回のタチウオの処理状態
今回は釣り上げてから脳天締め→エラ切り放血→海水氷、その後帰宅してから脱血し、その後脱水している。
その後の保存方法は2通り。
- 4日目までは小型&中型(F3まで)のタチウオを使い、キッチンペーパー&ラップで真空氷温室。
- 5日目以降は中の良型(F4)をグリーンパーチ&袋で脱気した上で真空氷温室で寝かせている。
そもそも4日目まで美味しく食べられるのかわからないけど、長期保存用の処理をしたF4タチウオを5日目から食べてみたい。
タチウオが保存にあまり向かない魚なのであれば、F3タチウオ4日目の状態で結構味が気になる状態になっていると思うし、4日目でまだまだいけそうなのであればサイズが大きく長期保存用の処理をしているF4は結構長持ちするかも、と予想している。
注意点:食中毒には気を付けて
この記事は魚を9日目まで寝かせていますが、9日目まで刺身で食べても問題ないことを保証するものではありません。
適切な処理、適切な保存をした魚でない限り、一般的には数日で魚は腐敗します。腐敗した魚は加熱しても食中毒の恐れがありますので、自己管理のもと十分気を付けて食べてください。
少しでも変な臭いを感じたり、不安がある場合は絶対に食べないようにしましょう。
9日目までの食べ比べ開始!!
いざ、9日目まで毎日タチウオ食べ比べ開始!!
0日目(釣り上げた当日):味薄め
釣り上げた当日だと食感が硬いって聞いたことある。
下処理しつつ、数枚を醤油つけて刺し身で食べてみると、、
あー、食感は良いけどちょっと味薄いかな?
うん、好きな人は好きそう。でももう一日くらい置いて身を落ち着けたほうがタチウオの味わいがでるかな。
1日目:既にうまい
生だと硬い銀皮があまり好きではないので表面だけ軽く炙ってみた。
おお、既に大変美味しい!!素晴らしいじゃないすか!
食感は落ち着いてて0日目より食べやすい。
旨味や風味、それになんだか甘み?みたいな。身に味が出ているのが分かる。ヒラメは釣り上げた日から相当味のある刺身だと思うんだけど、それに似た感じ。
タチウオすげーな。
そしてレモンを絞るとまた美味い。太刀魚の塩焼きと香酸柑橘の組み合わせは子供のころから大好きだったんだけど、炙ってレモンってやっぱうめーな。たまらん。
生の銀皮作りは皮が硬いので、生で食べるなら骨切りのように皮目だけ細かく切りつけるのが良さそう。
2日目:塩レモンとの相性の良さを知る
夕食のタイミングでまた炙ってみた。今度は皮の部分だけ骨切りチックに切って生の銀皮造りでも食べてみる。
うーん、やはりうまい。身が適度に柔らかくて脂がしっとりとのっていて酢飯によく合いそう。脂の香りなのかな?どことなくカワハギの肝に似た風味を感じる。これだと柑橘系、そりゃ合いそうだよな・・・
- 醤油
- レモン醤油
- ポン酢
- 塩レモン
この4種類の味付けで食べ比べてみると塩レモンが一番美味しい!ポン酢もいけるけど塩の鋭い味とレモンのキリッとした酸味が脂の乗ったタチウオと相性良い!
そして1日目との味の違いが正直全くわからない・・・。すでに十分美味しいからいいか。
3日目:旨味増してきた!
3日目、炙るのがちょっと面倒になってきたので皮をそのままにして切りつけて食べてみた。
切り身の状態で臭いを確かめると、ほんの少し魚っぽい臭いを感じたので流水で少し洗ってから水気を取ってみる、と、消えた。
全く気にならなくなったし、これなら生で食べるのに問題なさそっすね。
あ、旨味が明らかに増した!!身の柔らかさも2日目よりやや進んでる。もう一声いけそうな雰囲気も感じる。
4日目:めっちゃ美味しい!!
こーれーはうまい!!!!
なんかめっちゃ美味しい。今までと別の美味しさになってる気がする。
なんでー?身に脂がまわってきたのかな?
食感が柔らかくなってきてるのと脂がしっかりのってるのと旨味がしっかりしてるのとで白身の中トロのような味わい。
この状態で握り寿司にしたら最高に美味しいはず。
切り身の状態での臭いは3日目と殆ど変わらず。水でさっと洗って水気を拭くと全く気にならない。
↓塩焼きにしても脂がしっかりのっててすごく美味しい。タチウオの優秀さが際立つ!!
5日目:食感が変わってきた
4日目までは長期保存を目指した処理をしていなかったF3タチウオだった。それでも4日目まで全く問題なく食べることができたので、長期保存向けの処理をしていた5日目からのF4タチウオは不安要素全くなし。
切り身の臭いは・・・やっぱり洗えばきれいに取れるわ。早速炙って醤油をつけて食べてみる。
あ、美味い。
旨味が非常に出てきてるのが分かる。
すげーうまい。
食感はややとろっとしてきてきて脂ののったサワラみたいな味わいになってきたかも。
部位によってはかすかに血っぽい臭いがあった。敏感な人は後味で気づくかもしれない。
6日目:血が残ってるところは微かに臭みと雑味?
5日目、旨味の濃さとバーターにして臭いがわずかに出てきたのかな?と思ったが、もう一度しっかり確認してみようと思い、6日目は5日目と同じタチウオを使った。
相変わらず切りつけてるときは変な臭い全くないんだよな。後は食べてみてどれくらい臭いを感じるか&旨味の強さは5日目と比べてどうかってところなんだけど・・・
うん、美味しいっすね。5日目とあんまり味わい変わらない気がする。
あ、いやー・・・やや旨味が薄くなったような気がしなくもない。代わりに雑味が出てきつつある?
5日目に感じた血っぽい臭いは一部の部位だけ感じた。脱血が不十分な箇所があったのかな・・・?と思ったら、塩焼きにした方で背側の血がうまく抜けてなかったのが分かった。
腹側の身はなんともないけど背側は臭いが分かる、と味覚と香りに非常に敏感な家族からのコメントもあったので、5日目から感じた臭いは脱血処理がだめでした、ということで解決しそう。
7日目:熟成させた美味しさがしっかり分かる!
5日目と同じタチウオを使ったが、今回の部位は脱血されていることを念入りに確認した部位。
皮目だけ炙って脂を少し浮きだたせて醤油で食べてみる。
おーいいねー!ザ・寝かせた魚って感じの味わい。
脂の美味しさも旨味のある美味しさも十分。熟成させた魚特有の風味も出てきた。
ここで握り寿司にすると「熟成させました!」感のあるお寿司になること間違いなしだわ。
毎日タチウオ食べててもう良く分からなくなってきてるのかもしれないけど、まず臭みはほとんど感じられない。6日目の雑味のような感じも無い。やっぱり血が悪さしてたんだと思う。
8日目:品質に問題なし!変わらず美味しい。
ここからは脱血処理をしたもう一本のタチウオ。少しでも血の様な雰囲気のある個所やヒレ周りの血合い部分は取り除いて食べてみる。
あ、ここまで寝かせるとさすがに皮の銀も取れやすくなってるな。
さて、炙ってみた味わいやいかに・・・
食感柔らか、脂のしっとりとした香りに充実した旨味、そして複雑さと微かな雑味。血のような後味に残る臭いは無し。
うん、問題なく美味しいっすね!!
7日の方から感じるけど、炙った香りが特に良いんだよな。タチウオほど炙りの似合う魚は無いかもってくらいに香りが良い。寝かせた美味しさとかじゃなくて自分の炙りスキルが上がってきたのか?w
ただし、食べてからしばらくすると後味で魚の臭いを感じなくもない。敏感な人は分かるかもしれないけど、意識しないと気付かないレベル。
9日目:甘みを感じる
相変わらず見た目が全く変わらない。
今日で最後、変な臭いは全くないものの、しっかり炙って食べてみる。
食感はもはや初期のタチウオとは完全に別の魚。そして旨味というか甘みを感じるようになってきた!
あまり刺身に使う表現じゃないんだけど、トロっとした甘みを感じる。どことなくアマダイやイシダイで感じる甘みと似てるかも。
9日目にしてさらに味わいが変わるとは・・恐るべしタチウオ。。
ちなみに後味で感じる魚の臭いは8日目と同じ感じ。気になる人は分かるかもだけど気にならない人もそれなりにいそう。
まとめ:タチウオの美味しさは2回ピークがあるかも
今回は9日目までタチウオを寝かせて毎日食べ比べてみて、どんな感じで刺身の味わいが変わっていくのかを記録した。
まず分かった大事なこと。それは、タチウオはわりと長期熟成可能な魚ということ。(長期≒10日くらいと勝手に定義)
そして今回食べたタチウオの味わいの変化をざっくり振り返ると、↓こんな感じになる。
経過日数 | 味わい |
0日目 | 味薄めで食感かため |
1日目~3日目 | 旨味がのってくる。食感が落ち着いてくる。 |
4日目 | 旨味、食感、脂のバランスが良い頃合い。 |
5日目~6日目 | 熟成特有の味が出てくる。食感が柔らかくなってくる。 |
7日目 | 熟成させた美味しさがしっかり感じられる頃合い。 |
8日目 | 7日から大きな変化なし |
9日目 | 食感がさらに柔らかくなり、甘みを感じるようになる。 |
0日目から9日目まですべて美味しかったんだけど、特に「美味しい!!」と感じたのは4日目と7日目。
4日目は柔らかめの食感と旨味、そして脂の美味しさのバランスが非常に良く、酢飯との相性抜群なタイミングだった。今度釣ったら絶対4日目で握り寿司にしてみよう・・・!!
7日目は熟成させた魚特有の風味が強く出て、かつ食感も柔らかい。8日目は7日目とあまり変化を感じなかったので、長めに寝かせた魚特有の美味しさを味わいたいのであれば7日が目安になる。
そして9日目ではさらに甘みを感じるようになった。もはやチキンレースの域に入っていそうで安易に人に勧められないけど、脱血処理を完璧に施すことができればこのあたりまでの長期熟成も可能なのかもしれない。
ということで、タチウオを寝かせて食べるなら4日目と7日目がオススメ。
タチウオを長めに寝かせたい時の課題は丁寧な脱血処理
今回使ったタチウオで5日目~7日目に使ったものは血が残っていた部位で臭いを感じた。つまり、脱血処理が甘かったことで鮮度の劣化を引き起こしていた。
血が残っていたのは尾に近い方の身と、腹に近い方の背側の身。
魚体が長い分、ノズルやホースを使った脱血も他の魚より念入りに実施する必要があるってことなんだろうな。後は釣り上げた直後の放血も結構念入りに実施するのもポイントかも。
そして、脱血に少しでも不安がある場合は4日目を目安に冷凍しておくか食べきるのも一案。寝かせなくてももともと非常に味の良い魚なので長期熟成にこだわり過ぎない方が楽しめるかもしれない。
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