プロがやっている血抜きと保存の効果をちゃんと知っておきたい
津本式の血抜きとか仕立てはお魚界隈では結構有名になってきた気はしてて、僕自身の血抜き方法も自分で色々と試しながら少しずつスキルアップしてると思ってる。
ただ、動画では結構色々見てるんだけどそれだけだと本当に血抜きやその後の保存をちゃんとできたうえで10日寝かせた美味しさを味わえてるのかどうかいまいち不安なところがあるんだよなー。
本当に自分のやり方ってあってるの?
そんな疑問がずっとあったので、新宿にあるお寿司屋さん「にぎりて」に行ってみることにした。
「にぎりて」は津本さん自身が仕立てた魚も含めて津本式の脱血、その後の保存をして数日、中には10日以上寝かせた魚の寿司を提供してくれるお店だそうで、答え合わせにはピッタリ。
赤身や白身の魚をうまく寝かせるとどんな味わいになるのか、、どんな味わいになるのが正しいのか。
実際に食べて思ったことを忘れないうちにメモしておく。
「にぎりて」はカウンターで少人数なお店
ちなみにこのお寿司屋さん、かなりこじんまりとしていて大人数は入れない。少人数で仕事帰りとかにふらっと寄っていくのが良さそう。
お寿司は1つのネタ1人前で2貫。1貫ずつ別の味(醤油と塩、みたいな)になっているので2人で分けるみたいなことは考えない方が良いかも。
↓こちらが今回のメニューの一部。2貫あたりの価格だったと思う。結構リーズナブルなお値段。
気になるネタを色々食べてみる!
メニューを見てみると結構色んな種類の魚が割と安いお値段で提供されていて良心的なイメージ。ノドグロはほかより飛びぬけて高価格になってるけど今回は頼む気あまりないので気にしない。
今回頼んだのはこちらのラインナップ。
- 生サバ
- イサキ
- シマアジ
- たまかい
- 太刀魚
- 八角
- いしがき鯛
- 熟成魚のガラスープ
生サバは一切の臭みなく酢飯と馴染みの良い食感と脂感
まずは生サバから頼んでみる。
そもそもサバを5日寝かせるというだけでかなり怖いイメージが抜けてない。釣り物のサバでさえ保存を一歩間違えるとすぐに身割れして危険な感じになるし、臭いも結構出やすい魚なので気になるところ。
1貫、口に入れてみると、、おぉ、臭み全くないわ。酸味も無い。
身はかなり落ち着いてて柔らかくて酢飯と超馴染む。なんだろ、なんか自分の知ってるサバと違う気がする。脂の乗りがかなり良いのと寝かせたため身が柔らくなってきているからかな、舌にもすごくねっとりついてくるような感じがある。
あ、長崎のハーブ鯖って臭み無そうだし養殖だから脂ものってるだろうし、もしかしてこんな感じなんじだったりして。
そして寝かせて美味しくなったのかどうか・・・、寝かせてどうっていうより脂の強さがちょっと気になるかな。
そこまで驚きは無いけどしっかり美味しいな、という感想。サバが生で食べられること自体結構レアだけどもう少しサッパリ食べたい気もする。
あ、鱗が口に入ったw
イサキはさっぱりめの味わい
続いてイサキ。イサキは伊東沖で釣ったものを寝かせて食べた記憶があるのでそれと比較して確かめられる。
こちらを食べてみると、、おー、うん、なるほどって感じ。
やっぱり身は落ちついてて、ザ・寝かせた魚の味わいがする。香りはあくまで上品で、でも身は柔らかく、味は鮮度が良い時とはちょっと違う旨味を感じる。
自分で釣って寝かせたものとは少し風味が違った。釣ってきた方は長く寝かせたものはマグロを微かに感じさせる香りがあったけど今回の方はそれが無い。
このあたりは津本式の脱血の程度かもしれない。釣った方はちょっと甘かったとか。今回の方は完ぺきに血が抜けてたからさらに香りが上品になったのかも。
シマアジは歯ごたえが割と残る
シマアジ。左の方はもろみ味噌がついている。
シマアジと言えば脂感と歯ごたえが印象的な魚だけど今回のシマアジは脂感はあるものの歯ごたえはかなり落ち着いていた。
寝かせたから香りが変わったとか味に深みが増したとかはあまり強く感じないが、もろみ味噌との相性が凄く良い。
なめろうと言えばアジの代表的な料理だけど、シマアジもやっぱり味噌味と合うみたいだ。これは寝かせないバージョンでも食べてみたい。意外とそっちの方が美味しいかもしれない。
初たまかい!旨味が超強くてさすがのクエ系
見慣れない魚が書いてあった。その名も「タマカイ」漢字で書くと「魂交」。
どんな魚なのか聞いてみると、クエ系の希少な魚とのこと。お隣のお客さんも「これは美味しいよ~」と教えてくれたので頼んでみる。
クエ系ってことはハタの仲間か。ってことはこの前食べたアカハタをさらにパワーアップした感じか?
・・・・・おお!!!!
これ美味い!アカハタの時と同じように感じる強い旨味がある!!
さらに脂ものってて脂の美味しさもあるな。身自体の旨味が途中から脂のうまみに覆われる感じがあるけど、それにしても美味しいなこの魚。
さすがハタ一族。
太刀魚は可も不可も無く
写真を撮り忘れた太刀魚。この太刀魚は熟成系ではないらしい
東京湾のような臭いは全くなく上品な美味しさがあるんだけど、ちょっと硬い。皮か筋があるのかも。
八角は驚異の脂ののり!
皮目を炙ってあるらしい八角。食感はコリっとした感じで面白く、脂ののりが本当に強く感じた。
ちょっとくどいと感じるくらいの脂の乗り具合。炙ったから脂感が強く感じるのかもしれないが、それにしても脂がすごい魚で面白い。
歯ごたえがしっかりしているのにこれだけ脂がのってる魚はあまり食べたことが無かったのでなんか新しい味を見つけた楽しさがある。
イシガキ鯛はしっかりした食感と脂ががっつり
そして今回の寿司ネタラストはいしがき鯛。
石鯛と同様に身がかなりしっかりしているのか、やや薄めに切りつけたネタになっている。食べてみてもしっかりした食感が分かった。
そしてこの魚もやっぱり脂が超のってる。いしがき鯛って秋冬で脂の乗りが良くなる旬を迎える魚なイメージがあったんだけど今の時期もしっかり旬に入っているみたいだ。
しかし本当に脂が強い。締めた光物を食べたくなってきた。
あら汁ではなくガラスープ。味わいは超濃厚!
汁物はガラスープを頼んでみた。
おお、なんだこれ!?濃くて美味い!!
濃厚魚介ラーメンのスープって感じになってる。この中に麺を入れて食べたくなる味だ。具材で海苔がたっぷり入ってて、それもまた美味しさをぐんと引き立たせてる。
あまり和食のお店では出てこないタイプの汁物だ。
かなりパンチがきいていて、異色のメニューだけど、これは間違いなく美味しい。このお店に来たらこのスープは迷わず頼んで良いかも。絶対ビールと合う。
でも寿司食べながらこのスープ、どのタイミングで食べれば良いんだろうな・・・。味が強すぎて寿司の余韻がすべて打ち消される勢いなので最初か最後に頼むのが良いかも。
まとめ
美味しかったです!!
そして熟成魚の寿司を一通り食べてみて気づいたことが一つ!
どの魚もなんか濃い。。
熟成させたからか、ずっとこれを食べてると若干くどいと感じてくる。熟成もあるけど魚自体がどれも脂がのってるからかもしれないなー。
大体どの魚も、脂のりすぎじゃない?と思うくらいに脂ののりが良かった。なので、熟成したからこその味わいというよりは魚が元々持っていた脂が主張しすぎてくどさを感じたのかな、という気もする。
あ、でも風味はしっかり寝かせた風味になってて、最後の方はその風味も若干濃すぎるなーって感じがあったな・・。やっぱり熟成させた魚は味わいが濃いのかも。
最後は鮮度抜群のアジの酢洗いとかで締められたらすっきりしたかもしれない。ずっと熟成系で攻めるとなんか不思議なくどさがあるから、僕の場合は獲れてから2日目、3日目くらいの魚も途中で挟みながら食べた方が満足感は上がるような気がした。
次回は最後の方にシメサバとか頼んでみようかな。
そして八角やタマカイといったあまり聞かない魚を食べられたのは面白かった。ここのお寿司屋さんはあまり聞いたこと無いお魚をわりとリーズナブルなお値段で食べられるのが魅力かも。
熟成した寿司が好きかどうかはその人の好み次第なところがあるので、まずは一度食べてみてこんな味わいもあるんだな、と楽しめると良さげだ。
ちなみに味わいは自分で脱血保存したときとほぼ違いが無かったので、自分のやり方で間違ってないみたい。一安心!
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