活け締めされていない魚も長持ちさせたい
最近血抜きにドハマりしている。
カツオ釣りで寝かせるのに失敗してから1か月近くたつが未だに毎日血抜きについて文献を調べたりと頭から離れることが無いほどだ。(-_-;)
さて、10月は釣りに行けていないので片瀬漁港の直売所で魚を買ってきたのだが、ふとこんなことを思った。
この魚って可能な限り血抜きすれば結構持つんじゃね?
ということで今回は活け締めされていない魚に可能な限りの血抜きを施すとどれくらい持つのかを検証してみた。
魚の致死条件などは後に記述するが、脱血方法は血抜きマニアには有名な津本式を使っている。
この記事はこんな方向け
- 購入した魚に対して血抜きをすれば長期間持たせることができるのか知りたい!!
- 津本式は活け締めされていない魚にも有効なのか知りたい!!
片瀬漁港で購入したカンパチで検証
片瀬漁港の魚はおそらく「温度ショック」で締められている
魚の締め方としてこの手の記事にはよく「苦悶死」という言葉が使われるが、魚の鮮度に関する研究論文では「苦悶死」とは即死ではなく甲板の上などで何らかの処置を施されないまま死に至る致死条件をさしている。
脳破壊や神経締めと血抜きを行っていないなら「苦悶死」と同じだというのも間違いである。致死条件による鮮度変化に関する研究論文によって、致死条件「苦悶死」と「温度ショック」では鮮度変化に明確に差が出ている。
釣り人としては、魚を「温度ショック」で締めるなら小魚くらいでしか現実的ではないので自然と締め方の候補から外れる。そのためあまり考慮されないのかもしれないが、定置網など大量の魚を鮮度保持させるための締め方として「温度ショック」は適用されている。
ちなみに江の島片瀬漁港協同組合のHPで紹介されている漁を見たところでは、片瀬漁港の直売所で売られている発泡スチロールに入った魚は「苦悶死」ではなく、氷温の海水につけて温度ショックで即死させる「温度ショック」による締めが実施されていると推測する。
カンパチのコンディション
片瀬漁港の直売所ではカンパチが多く揚がっていたので2匹購入していずれにも血抜きを施して保存した。
直売所で売られている魚は発泡スチロールに並べられているものと活魚で血抜き実施対象のためイケスに入っているものがある。カンパチは前者のため、活け締めや血抜き処理は施されていない。
購入9:00
- 重さ約1.0kg×2匹
- 下処理なし
- 致死条件は温度ショック(AM4:00と仮定)
血抜き15:00
- 血抜きするまではクーラーボックスに氷を敷き、そのうえにビニール袋に包んで保存
- エラと大動脈を切り、水の中でしばらく振り続けてその後ノズルとホースによる津本式脱血を実施(この時にウロコ、内臓も取り除いた)
- 血抜き後は水気をよく拭き取りペーパーにくるんで氷温室へ。
見た目
こんな具合だ。目に濁りは全くなく綺麗な魚体。
65時間後:刺身で全く問題なし
カンパチを水揚げしてから65時間後の状態。
もうちょいわかりやすく言い換えると、購入して血抜きした日から2日後の夜だ。
魚体は綺麗で臭いもほぼゼロ。おろして柵取りしてみると血合いの部分が鮮やかで印象的。
熟成は結構進んでいるようで身がだいぶ落ち着いていた。カンパチと言えば食感が特徴的なイメージがあるので、ここまでしっとりしている状態になるのが早いとあと1日、2日で際どくなるような気がする。
そのまま半身を刺身で食べてみた。やはり臭みはほぼ無い。旨味の出方はあっさりしていてもう一段階行けそうな感があるが、食感とのバランスも良く十分に美味しいと思う。
113時間後:やりすぎた!!寿司でもちょっと臭いが分かる(-_-;)
さらに2日寝かせてみた状態。
目に濁りが。。
今まで釣ってきた魚では経験したことのない魚の目の濁り。嫌な予感がプンプンするぜぇ・・・
三枚におろしてもわずかに魚っぽい臭いを感じたので刺身ではなく握り寿司で食べてみることにした。微かに臭いがする場合は酢飯や醤油で臭いを打ち消す効果が期待できる。
寿司にしてみた。
旨味は素晴らしく出ている、、が、腹側の身はやっぱり臭いが気になる!!背側はあまり気にならないが醤油と山葵は必須だ。
うーん、、1日遅かったかな…?
試しに刺身でも一切れ食べてみると、旨味の他に酸味も上がってきている。熟成をやや通り過ぎたかも。
結果:血抜き後、2日目までは生でも美味しいはず!
今まで片瀬漁港の他の魚を食べてみた経験も踏まえて今回の結果をまとめると、血抜きや毎日ペーパーを変えるなど手間をかけて世話してやると、2日目までは間違いなく美味しく食べられる。
そして3日目がおそらく寿司では一番美味しいタイミングと考えている。
正直4日目の魚でも気にならなに人はまったく分からないと思うが、常に新鮮な魚を食べている人には気づかれるレベルの臭いだ。4日目でそのくらいなので3日目であればおそらく、ほとんどの人が気にならないレベルではと考えている。
ということで、↓のように鮮度変化をまとめた。
- 購入当日(0日目):身が落ち着いてない
- 1日目~3日目:だんだんと食感は落ち着いてきて、代わりに旨味が増えていく
- 4日目以降:旨味は増えていくものの臭いが強くなってきて腐敗へ進んでいく
やはり釣ってすぐ活け締めされた場合より魚が持ちにくい気がする。
ただし、今回は持ち帰って数時間置いてから血抜きをしたため、その間に血による鮮度劣化を早めてしまった可能性がある。
次回は帰宅後即血抜きして試してみようかな…帰宅が11:00頃になるので今回より4時間血抜きの時間を早めて実施することが可能になるし、どこまで処置できるかも突き詰めてみたいので今後片瀬漁港で魚を入手した時は再度検証してみたい。
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