秋の相模湾で大量に釣れる魚トップ3に入る勢いのイナダ
毎年秋になると相模湾でもたっぷり釣れるイナダ!
ですがその味わいに関しては巷の評判はそこまで良くないんですよね。ブリの子供だから美味しいのかと思いきやほぼ別の魚と勘違いするレベルで別物。
釣り始めてから数年間は「こんなに釣ってどうすんだこれ」と、イナダ釣った後の食べ方で毎回悩んでました。
そして、秋が来るたび「とりあえず漬けにするか」とか「カレーにしてみるか」とか色々な食べ方をしているうちにイナダとの付き合い方がなんとなくわかってきたのがつい最近。
きっと世の中にたくさんいらっしゃるであろう「イナダの食べ方でお悩みの方」向けに、毎年大量にイナダを食べている僕から「イナダの旨い食べ方」を共有させていただきますよ!!
イナダの食べ方のヒントになればうれしい限りです。
今回はそんなまとめ。
この記事のイナダは「40cm未満の脂のってないやつ」
ところでこの記事ではイナダっていうかワカシっていうか、というサイズ感(少なくとも40cm未満)のものが対象。
もし70cm超とか4kgくらいの冬に釣れたワラサなら色々な食べ方で美味しいです。
脂がのっていなかったとしても身質はしっとりとしていてお刺身で十分美味しいです!
というか基本的にどんな食べ方しても美味しいです!!
この記事はこんな方向け
- スーパーでイナダ安く売ってるんだけど美味しいのかねこやつは、と思ってる方
- イナダ結構釣れるから味はまあ知ってる。そこから一段上の美味しさを知りたいって方
- イナダが美味しくなくて泣きそうな方
問:イナダを美味しく食べる方法はあるのか
この記事を読んでる時点でイナダの評判は少しは耳に入っているかも。
イナダは不味くはないけど美味しくもない、と言われることが多いんですよね。
※実際のところ本当に美味しくないのかっていうと、調理法によってマジで美味しくないこともあります。
刺身、塩焼き、煮つけなどの定番料理で魅力が引き出されにくい食材
なんで微妙な評価なのかって言うと、イナダはひと手間かけないと光りにくい食材なので「美味しくない」と思われがちだからなんじゃないかなって。
歯ごたえしっかりしてるので刺身はわりといけます。が、あの独特の若い青物臭さが苦手となってあまり積極的に食べたくはないって人もいます。塩焼きや煮つけにするとパッサパサになって食べにくさMAXになるし。
あまり考えずに食べようとすると「あれ、そこまでうまくはねーな…」となりがちなんですよ、イナダって。
まじでね。
弱点は「あっさり」「独特の風味」「大味」の3つ
イナダのが「そんなに美味しくはない」と敬遠されがちなのは、「あっさり」「独特の風味」「大味」という3つの弱点が相互に作用しちゃってるからなんじゃないかと。
それぞれ何なのか書いてみます。
弱点1:あっさりしていて脂がのらない
ブリの超若い状態なだけあって脂のりがほとんど期待できない。そしてあっさりというか、加熱するとパッサパサになるのがイナダの特徴の一つ。
パッサパサになるのが嫌なら衣をつけて軽く揚げるとか手法はないこともないけどそれでもなおパッサパサ。
弱点2:ワカシやイナダ独特の青物臭さがある
ワカシのような小さいサイズになるほど感じるんだけど、なんか独特の香りつき。どう頑張っても、そこまで食欲をそそる香りにはならない感じのやつ。
なんか存在感を感じてしまう、そんなに美味しくはない独特の香り。
別にくさいわけじゃないんだけど、「あ―イナダねー」って思わせてしまう。
弱点3:大味(味が薄い)
イナダを寝かせて何日目が一番美味しくなるか検証してみたら5日目だったことがある。
で、その5日目のイナダを食べても3日目寝かせたマアジより若干味が薄いな、、という印象。
それくらい存在感というかうまみというか、何か物足りない感じがあってしょうがない。
それがイナダ。
仮説:イナダの弱点を補う調理法なら美味しく食べられるのでは?
イナダの弱点は「そもそもあっさりしていてパサつきやすく」、「独特の香りがあり」、「大味」という3点。
ということはそれぞれの弱点を打ち消してくれる調理法であれば美味しいはず。具体的には以下のような対策が有効なんじゃないかと。
- 油分の添加
- 独特の青物臭さを打ち消す食材と合わせる
- 複数の調味料で味付けを豪華にしてみる
ということで、今回は上の3つの方法を意識しながら食べ比べて検証してみました。
ちなみに何も意識せずに食べるレシピは刺身だと思ってます。
結論①:美味しくて作りやすさもありそうなレシピは4つ!!
で、いざ実食して比べてみて、結論こうでした!
って書こうと思ってたんですが、そんなことより結論教えてくれよという気持ちの方が結構多めだと思うので先に結論っぽいまとめを書いておきます。
仮説と対策の考え方はわりとあってた気がしてます、わりと。
文句なしの食べ方4種とは
今回15種の食べ方以外でも美味しいというだけであれば色々あるとは思うんだけど、作るのが割と簡単(?)でイメージしやすく、かつ「文句なしにうまいぜ!!」というものは4つという結果。
イナダで迷ったらこの4種類の食べ方、おススメですよ!!
①何かしらトッピングしたうえでのお寿司
まずは酢飯との相性。そのままお寿司にすると特に特徴のない寿司が出来上がる。不味くはないが普通のお寿司。
ここにアボカドをたたいてディップみたいにしたものをトッピングすると最高のお寿司に変身するんですね!!
超うまいですこれ。
カワハギの肝和えのような濃厚な脂感とイナダの食感がマッチして酢飯との相性がとても良いです。
アボカドがイナダをリッチな感じに装飾してくれるっぽくて、ついでに酢飯の香りも相まってイナダ独特のあの青物っぽい香りは完全に隠れます。
酢飯にイナダ乗せてアボカド乗せるだけで良いんで一度試してみてください。
ちなみにアボカドに塩や柑橘を合わせても美味しいです。
アボカドに塩ひとつまみとすだち果汁とか加えるとより相性良くなるのでおすすめ。たぶん玉ねぎ刻んで極小量加えるのもとても良い。
②マリネとかカルパッチョ系
液体の油を足すうえに色々な素材を組み合わせて華やかな香りにもできる料理。
イナダを薄切りにしてやや強めに塩して10分。水気をふき取ったら油やお酢、トマト玉ねぎにんにくといった野菜をカットしたりすりおろしたりして和えれば完成!!
イナダの薄切りとかなり相性が良いみたいで安定の美味しさを誇る料理。
ただ、イナダでなくてもきっとマリネは美味しい(笑)
③燻製
かなり意外だったのが燻製。これも超うまいです。
柵どりしたらそれを90度くらいの薄い塩水で40分ほど加熱し、身が締まったら粗熱をとって扇風機か外に出して一晩ほど風乾。表面が乾いたら仕上げに30分ほど熱燻にかける。
イナダ特有の香りは完全には消えないもののほぼ燻製の香りで隠せます。
燻製になるとパサついた身がそれを通り越して噛み応えのある食材という感覚に変わるので美味しいんです。
④ゴマイナダ
普段はあまり作らない「ゴマサバ」という北九州地方の郷土料理。サバの刺身を漬けダレに軽く漬けてすりごま、ちぎった海苔、ワサビで頂くものなんだけど結構どんな魚でも美味しい料理です。
お好みで青ネギとかシソとか加えてもOK。漬けダレは酒醤油みりんを1:1:1で7割ほどまで煮詰めて冷やしたもの。
漬けダレの味がとても濃いうえにすりごまや薬味が非常に強いので刺身さえあればどうやったって美味しくなる。
イナダも同じで、薄切りにして作ってみたら最高にうまかったです。文句なしにおススメ。
結論②:イナダは弱点に何かを「添加」して食べるのが大事
生の食感を活かして風味を足してあげるととても美味しい
15種を食べてみた感じだと、基本的にイナダは生で食べるのが良いと思います。刺身のイナダはとても食感が良いんで、ぜひ。
とはいえ味は薄いので、食感だけは活かしてあげようという気持ちで油や味を思いっきり足して豪華に仕上げると、さらに美味しく食べられます。
厚切りでまずはイナダの刺身を食べて飽きてきたら、薄切りにしてマリネしたりゴマイナダとかにアレンジしたりして食べてみてください。
マリネやカルパッチョはそのままお野菜と合わせてサラダにもできるのでバランスの取れたおかずが出来上がります。
「へえ!!イナダ良いじゃん!」ってなりますよ!!
加熱系ならしっかり味付けしよう。あと燻製がおススメ。
加熱するとどうしてもパサつきやすくなるし大味なところが目立ってしまう。
ので、加熱して食べたいなら味付けや香りづけをしっかりして食べると良いです。
ただし、加熱したときのパサつきを油とか何かの添加で補うのは難しい印象。。
汁物のカレーはとても美味しいしパサつき気にならない加熱レシピではあるんだけど、あれは誰でも作れるわけではないのでおすすめってほどではないんですよねー。
で、パサつきがどうしても気になるという人は燻製がおススメ。
そもそも乾燥させて鮭とばっぽく作ることもできるものなので、パサつき自体が気にならなくなる。脂が少ないことも燻製との相性が良いので時間と環境があれば燻製も良いです。
材料揃ってれば工程はシンプルなので、イナダカレーより難易度低いと思います。
そして大量に作れるし冷凍保存もできる。メリットがいっぱいなので、イナダをたくさん釣ってしまったときは燻製にして保存しておくと良いかと!
検証実食レポート:15種レシピを食べ比べ!!
ここまででイナダを美味しく食べる方法やおすすめのレシピは結論書いちゃったんだけど、実際に色々な食べ方するとどんなもんなのか個人の感想を書いておきます。
メモがてら( ..)φ
case1. 唐揚げ
うーわパサパサ。
こうなることはわかってた。イナダだもの。
よく脂ののってない魚は油と相性良いって聞くけど僕は全く信じてない。
脂ののった魚を唐揚げにした方が美味いでしょ。
case2. 切り身を塩焼き
写真は割愛!!
これも結果はわかってた。
レモン汁と醤油をかけて食べてみるとそれなりに食べられるけどまあパサパサよね。なんか味も薄いし。
わかってた。
case3. カマ焼き
他の魚でも共通で「カマ」だけはどの魚も美味い。
どんなにパサつきやすい魚でもここはなぜかパサつかない。
うまい。イナダでもパサつきはある程度抑えられている。
だが青臭い。
大根おろしと醤油で頂きたいお味。それと合わせればしっかり美味しい部類。
case4. カマの煮つけ
カマはパサつかない。
ということは煮つけも美味しいはず。
うまい。ややパサつくがいけなくはない。
case5. 刺身(ショウガ醤油)
ただの刺身は味気ないのがイナダ。
なのでショウガ醤油で少し香りを足してみた。
が、たいして変わらない。食感は良いが根本的に何か足りない味わい。
case6. 刺身(マヨネーズ)
ただのマヨネーズだと微妙なのでワサビを加えてマヨで醤油つけていってみよう。
微妙・・・油足したらうまいってわけじゃねーな・・・
case7. 寿司(アボカド追加)
これは前回の鮮魚セットか何かで試してみて大当たりだった食べ方。
やっぱりうまい!!
イナダのあっさり硬めの身質にアボカドがまるで肝を乗せたようなインパクト!!
新鮮なイナダはこの食べ方が一番好きかも。
case8. カレー
完全な変化球。
イナダのアラで出汁を取り、唐揚げをぶち込むイナダカレー。
フィッシュモリーのちょっと日本人好みのアレンジっすね。
そりゃうまいよ!!作るのもうちょっとお手軽だったら毎回作りたい!!
case9. カルパッチョサラダ
ただの刺身だと味気ないので薬味をしっかり効かせてみたらなんか普通にうまい。
というか玉ねぎとか葉っぱ系の薬味と相性良いな!
イナダ特有の青臭さがキレイに消えてくれる。
case10. マリネ
カルパッチョなのかマリネなのかはさておき味を装飾したほうが美味しいっぽいので調子に乗って色々試してみる。
全部美味しい。中でも意外と良い味だったのがナンプラーと生姜玉ねぎ。
少しサラダ油を足してマリネすると味わいがリッチになるのでおつまみとかサラダとかに使いやすい。
case11. 味噌汁+生姜+小さめの切り身
味噌汁にしては見たけど写真とるモチベーションが湧かないお味。
うん、、、まあ、味噌汁に脂ののってないパサついたブリの感じっすね。あえて作ってまた食べたいとは思わないかな・・・。
「ほうとう」レベルに色々な具材の入った味噌汁作って、そのなかに少し入れるくらいならアリ。
case12. ムニエル
うーん、唐揚げに比べてパサつきは少ないんだけどなんか味がうっすいのよね。。
ニンニクとバジルで味付けしてあげたらもう少し幸せになれるかもしれない。・・・と思ってニンニクバジルコショウで下味しっかり付けたら結構食べられる感じになった。
やっぱりイナダってそのまま素材を味わうってより「しっかり調理」した方が良さそう。
case13. 〆イナダ
〆サバの要領で〆イナダを作ってみた。
感想求められてもこまる味(笑)
特段美味しくはない。
case14. イナダの燻製(なまり)
90度くらいの塩水で身が締まるまで茹でて、その後干して燻製にかけたもの。
詳しい作り方はまた改めて・・・だけどこれは文句なしにうまい。脂がのってないからなのか、しっかり燻煙の香りがついて塩味もしっかりしてて中々良い。
パサパサだった身もここまで締まってかつ干し上げられると柔らかめのジャーキーのようになって逆に良い味出してる。うまいわこれ。
改めて焼く必要もないから手軽に食べられておやつでも良いしおつまみにもなるな。
あ、イナダくらいの小さな鱗ならそんなに丁寧に取らなくても気にならないってのも処理が楽で良いよな。
たくさん釣れたらさっと柵どりして大量生産できるし・・・
冷凍しても美味しさ変わらないし・・・
この食べ方、イナダの大量消費レシピとして超有効なんじゃない?
case15. ゴマイナダ
本来はサバの刺身を使って作る「ゴマサバ」になるんだけどイナダで作るのでゴマイナダ。
大分の料理の「りゅうきゅう」の方が似てるような気もする若干アレンジされた料理だけど間違いのない旨さ。
この料理って刺身ならわりとどんな魚でも美味しいのよね。
この料理はアジやイワシで作っても美味しいし、白身のマダイとかで作っても美味しい。ちなみにマダイを使って熱いお出汁も用意すればそのまんま博多の鯛茶漬けの味にもなる。
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